ブックタイトル広報さくらがわ 2016年11月1日号 No.267

概要

広報さくらがわ 2016年11月1日号 No.267

女体山山頂の斑れい岩花こう岩の巨石や、奇岩がそびえる加波山や足尾山などの山々は、古くから山岳信仰の場として知られています。特に近代以降は、山頂近くの花こう岩が良質の石材「真壁石」として切り出され、ふもとの地域に石材産業を発達させました。また、花こう岩が風化してできた土や、花こう岩地帯からしみ出したミネラルに富んだ水は、この地域の農業だけでなく、窯業や醸造業の発展をもたらしました。●?●?加波山・足尾山酒寄・椎尾酒寄地区は、「斜面温暖帯」による冬季の温暖な気候と「山麓斜面堆積物」で形成された水はけのよい斜面を利用した温州ミカンや、福来ミカンの栽培が盛んです。10月下旬～12月上旬の収穫期には、広大な関東平野を眼下に望みながら、観光ミカン狩りを楽しむことができます。また、椎尾地区の薬王院境内には、ミカンと同様に温暖な気候を好むスダジイの巨木が生い茂り、これらは茨城県の天然記念物に指定されています。高峯から富谷山にかけては、今から約2億5筑波山地域ジオパー千万年前～約１億5千万年前、「海溝」とよばれるジオサイトマップ深い海の底にたまった砂や泥でできた岩石が見ジオサイトとは、られ貴重な地形・地質の見どころが楽しめ地域ジオパーク構想では、筑波山地域を3つのゾーンに分霞ヶ浦や関東平野の見どころを7つのジオストーリーと2ます。しています。ジオサイトでは、生物・生態系や歴史・文化介していますので、様々な興味や視点でジオサイトを楽しこれらの山にある展望台からは、吾国山、加波山筑波・鶏足山塊ゾーン非火山地域で語るダイナミックなプレート運や筑波山の山並みと、岩瀬盆地や関東平野、そこを霞ヶ浦ゾーン流れる桜川の眺望を楽しむことができます。国内第2位の湖面積を誇る霞ヶ浦で語る海水桜川市内の４つのジオサイトと見どころ●?●?高峯・富谷山羽鳥山と湖をつなぐ平野ゾー日本最大の関東平野で語る海水準変動と平野ストーリー1急峻な双峰と広い裾野を有する筑波筑波山は、山頂から中腹は約7,500万年前に形成された斑れい岩、中腹花崗岩でできています。斑れい岩は、風化や侵食には強いものの、多方い性質があります。筑波山の急峻な双峰と山頂近くの巨石や奇岩の形成方、花崗岩は深部まで風化して、マサ（真砂）という崩れやすい状態になどの際には、マサが上部の斑れい岩の巨礫とともに崩れ、土石流をひい裾野は、主に過去の土石流の堆積物がつくり出したものです。5筑波山山頂6筑波山南麓女体山山頂の斑れい岩男体山と女体山の山頂は、周囲に分布する巨石・奇岩群とともにすべて斑れい岩でできています。斑れい岩の巨石・奇岩は、マグマの冷却過程で形成された多方向の割れ目と、地表露出後の風化・侵食がつくり出しました。滝野不動堂笠間盆地北部にある滝野不動堂の境内では、石灰岩の岩塊が長年の風雨で風化・侵食してできた小さなカルスト地形が見られます。この石灰岩は、海洋プレート上の海山の浅海域で形成されたものです。崎浜のカキ化石床崎浜から川尻にかけては、約7,000年～6,000年前の縄文海進時の波浪でつくられた崖がよく発達しています。これらの崖には、古東京湾が発達していた時代の干潟に生息していたカキ化石の密集層が見られます。羽鳥地区には、筑波山山頂をつくる斑れい岩の巨レキが多数転がっています。これらの巨レキは、かつて筑波山中腹～山麓での度重なる土石流がもたらしたものです。こうしてできた緩やかな斜面上には、落葉広葉樹林とアカマツ林跡が残り、春先の落葉樹林の林床には、カタクリやニリンソウが咲き誇ります。筑波山梅林筑波山梅林には、過去の土石流などがもたらした斑れい岩の巨礫などからなる山麓緩斜面堆積物が分布します。また林道沿いでは、筑波花崗岩が風化・侵食でもろくなり、マサ化していく様子を観察できます。その他のジオサイト：3羽鳥; 4酒寄・椎尾; 8山ノ荘; 14吾国山・愛宕山などストーリー2ダイナミックな大地の変動を語る筑鶏足山塊の山々には、チャート、石灰岩や砂岩・泥岩などの岩石が約2億5,000万年～1億5,000万年前の海洋プレートの大移動と沈み込付近で形成されたものです。このように、形成年代や環境が大きく異のは、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際に、表面にあっぎ取られて貼りつけられたからです。こうした岩石の集合体は「付加る地質を形成しています。15笠間盆地1高峯・富谷山高峯のヤマザクラ高峯や富谷山では、砂岩・泥岩やそれらの互層が分布しています。これらの岩石は、海洋プレートと大陸プレートの境界付近で形成されました。高峯はヤマザクラの群生地としても有名で、春の開花期には多くの観光客が訪れます。その他のジオサイト：7平沢・宝篋山; 8山ノ荘; 10閑居山・権現山; 11龍神山ストーリー3古東京湾や古鬼怒川などがつくり出霞ヶ浦（西浦）に突き出た出島半島とその付け根にある2つの入り江（前以降の気候変動がもたらした急激な海面上昇と低下の繰り返しと、そ込みや流路の変更がつくり出した地形です。こうした地形やその中に含「古東京湾」や「古鬼怒川」とよばれる大きな内海や大河川が存在してい19崎浜・川尻24桜川中流古鬼怒川の礫質堆積物筑波山西麓には、約2万年前までここを流れていた古鬼怒川がつくった広い平坦面が発達しています。桜川の河岸や河床では、約3万年前に古鬼怒川が日光連山から運んだ安山岩や流紋岩など多数の丸いレキが見られます。のジオサイト：26232217その他六斗；花室川；上高津；高浜・石岡など5さくらがわ2016.11.1