ブックタイトル広報なか 2016年10月号 No.141

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概要

広報なか 2016年10月号 No.141

問い合わせ環境課環境グループ?298-1111(内線447~449)◆「緩和策」と「適応策」温暖化防止策には、温室効果ガスを減らし、温暖化の進行を食い止めるための「緩和策(排出削減策)」と、温暖化による悪影響に備える「適応策」があります。最近重要視されているのが、温暖化防止のための適応策です。排出削減努力を最大限行っても温暖化は完全には抑制できないため、何らかの影響の発現は免れることができないためです。それでは、緩和策は止めて適応策にだけ取り組めばよいのでしょうか。緩和策は温暖化の影響を受けやすいすべての分野への影響を同時に軽減します。一方、緩和策は基本的に防災、食料、自然生態系、健康などの分野や地域を特定して施される対策であり、その効果が及ぶのは対策の対象となった分野・地域に限定されます。したがって、適応策のみで温暖化を切り抜けることは不可能です。適応策は緩和策を補完するものであり、緩和策と並行して進めなければなりません。◆防災行動計画「タイムライン」とは防災行動計画「タイムライン」防災分野における適応策の一つが、危機管理手法を取り入れた防災行動計画「タイムライン」です。タイムラインとは、台風が発生してから上陸するまでの数日間を使って、事前に防災行動を行い、被害の防止や発生後の早期復旧を実現するアメリカ発祥の防災計画です。タイムラインは、住民の命を守ることと経済被害を最小化することを目的に、「何時」「何を」「だれが」の3つの要素を合言葉にして、あらかじめ地域の防災機関が集まり、取るべき防災計画や行動時刻、各機関の役割を細部にわたって規定したものです。タイムラインによる早め早めの防災行動が減災につながり命を守ります。タイムラインの作成に当たっては、予報の空振りを恐れず、その経験を次の行動計画の改善に生かすことが重要です。すなわち、事後検証により、災害の教訓や課題を検証する仕組みも作ります。タイムラインは、台風だけでなく、ゲリラ豪雨や熱波などの異常気象の対策にも対応できます。※図は、岩谷忠幸著『気候変動と気象災害~現状と課題、啓発の方向性~』(日本一早い! ?COP21報告会地球温暖化フォーラム(12月22日日本教育会館)資料)より引用しました◆「市民防災行動計画」を自治会単位で策定し、地域の災害対応力を高めよう温暖化による気象災害は、公助(自治体)だけでは対応できません。自助(自分)と共助(地域)が重要なカギとなります。いざというとき助けになるのは近所の人、というのは前例の教えるところです。また被害を最小限にとどめることができるのも、日ごろからの連携が強い地域です。このように、災害が起こったときに大きな力を発揮するのは、地域のつながりです。そこで、地域単位で構成する自主防災部の住民自らが、自分たちの防災について考え、話し合い(ワークショップ形式)、その内容を防災行動計画としてまとめた地域版タイムラインが必要になります。これが、地域の「市民防災行動計画」です。市内には、自主的な組織として69の自治会組織があり、それぞれの地域事情に応じたさまざまな自主防災行動が展開されています。いざというときのために「いつ、だれが、どのように、何をするか」をまとめた「市民防災行動計画」が、この自主防災部を中心に作成され、地域の実情に応じた防災活動を実践し減災につなげることが望まれます。もちろん、防災訓練などにより、計画の内容を検証し、必要な見直しや内容の充実を図ることが求められます。こうした「市民防災行動計画」は、自治体の防災行動計画との整合を図り、自治体と自治会防災組織間の防災行動をつなぐツールとして活用し、今後ますます甚大化する気象災害に適応する必要があります。執筆:環境省環境カウンセラー勝井明憲13広報なか10月号