ブックタイトル広報 常陸大宮 2016年8月号 No.143
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広報 常陸大宮 2016年8月号 No.143
????????????? ???????? ???? ????昨年1月に、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員として、アフリカのマラウイに派遣された小河原香織さん(市内野上出身)から、5通目のお便りが届きました。「感動」小河原小河原香織9月に始まり、7月で終わるマラウイの学校に来て、今学期をもって1年間が終わります。これまで17校ある管轄校のうち、5キロ圏内・10キロ圏内・15キロ圏内と制覇し、15校に足を運ぶことができました。ここに来た当初は、TDC(教師研修センター)の同僚に連れられて訪問していましたが、PEA(初等教育アドバイザー)が変わり、何かと忙しい同僚を見ていて、1人で巡回するように変更しました。今ではマンゴーの木、バオバブの木、そしてお墓の目印となる木などが分かるようになりました。赴任した頃は、学校から徒歩で20分離れた自宅に帰るのにも、1時間迷ったことがありました。ここシャープバレでは1本道を間違えると、特別な建物が少ないため、私にはどの景色も同じように見えてしまい、時間とともに体力も奪われます。私が活動の拠点を置くシャープバレプライマリースクールには、最長10キロ離れたところから徒歩で約3,000人の児童が、そして約30人の教員が毎朝通って来ます。15校を巡って感じることは、どんどん奥地に入るにつれ、教員数が減少していくことです。Standard1~8(日本でいうところの小学校1年~中学校2年生程度)に対し、最小5人の教員で、手分けして運営している学校も1校にとどまりません。そしてそんな学校には、女性教員は見当たらないことが多いのです。その理由として、生活するのに不便な場所が多いからでしょう。この環境では、買い物をする場所がなく、週一回開かれる遠く離れた市場へ行きます。シャープバレは盆地であるため、丘の上にある学校も珍しくないのですが、この場所では井戸に行くのに坂を上ったり下ったりしなければなりません。たいてい学校周辺に家を構える先生方は、突然訪問した私をフットワーク軽く迎え、青空の下、木の下の教室を毎回喜んで案内してくれます。「どっぷりつかりなさい」とJICAのあるスタッフさんに言われ、これまで生活してきました。水汲みや食事の支度、洗濯等をお手伝いさんに任せて活動をしている隊員も多い中、私を心配して「完璧主義にならずに…」とアドバイスをしてくださる方もいます。ただ、自分が普段から彼らと同じように生活しているからこそ、心身から溢れる感情が自分の中に湧き上がってくるのも事実です。そこから発した質問を先生方にぶつけると、皆さん、共感しながらさらに詳しく、井戸の場所や市場の場所まで身振り手振りを交えて説明してくれます。新しい教員がなかなか来てくれない環境の中でも、彼らはここを離れず、働いていてくれる数少ない先生方なのです。そのおかげで、彼らの児童たちはさらに遠くの学校に通うことなく、家の近くの学校で今日を過ごすことができます。去年1年間培った学びの上に、新たな気づきが芽生えました。今の私は、井戸でバケツ一杯になった水を、自力で頭にのせるアマイ(お母さん)のために、自然に手助けを始めることができます。感動するとは、そういうことではないかと思います。広報常陸大宮19平成28年8月号