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概要

広報なか 2016年8月号 No.139

問い合わせ環境課環境グループ?298-1111(内線447~449)◆環境問題は、次第に工場から家庭へ1955年~1970年の高度経済成長期と、それに続く1986年~1990年の安定経済成長期(平成景気、バブル経済)を経て、高い経済成長率が維持され、国民の一世帯当たりの平均1か月の実収入は、高度経済成長期の始まる1955年に比べ、安定経済成長期の終了する1990年には、実に10倍以上に急増しました(出典:統計局)。国民は豊かになり、生活スタイルも大きく変化しました。三種の神器と呼ばれた白黒テレビ・冷蔵庫・洗濯機をはじめ、カラーテレビ、クーラー、自家用車が新三種の神器(3C)と呼ばれ、豊かさや憧れの象徴として、新しさや快適さ、利便性を追求する生活観が次第に育っていきました。こうして、日本は、大量に生産・消費・廃棄する、「モ250(1973年度=100)ノ」があふれる社会となっていきました。200こうした過度な物質的豊かさの陰で、地球環境の破壊や資源の消費が進みました。右のグラフはその一例で、高度経済成150長期から平成期に至る家庭用電力の推移を示します。このグラフを見ると、家庭用電力(縦軸)は、豊かさとともに飛躍100的に伸びているのがわかります。電力のほとんどは化石燃料50からつくられるため、使用することで二酸化炭素を大気に排出することになり、気候変動(温暖化)の原因を作り出しました。0(年度)ごみや生物多様性の喪失の問題も、同じように物質的豊かさと196570 7375808590952000052011引き換えに顕著となりました。こうして、環境問題の発生源は、資料:内閣府「国民経済計算年報」、?日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」、資源公害時代の工場から次第に家庭に移りました。エネルギー庁「総合エネルギー統計」◆わたしたちの責任と覚悟~持続可能な地域づくりを目指して~残念ながら、現在でも多くのかたが環境破壊に対して「環境と経済との健全な調和を図る」「個人の生活を侵害するような環境保護はごめんだ」「人間の生活が制約されない程度に環境の保全を進める」といったような考え方を持っているようです。前述のとおり、環境問題においてわたしたちは被害者であるとともに、加害者でもあります。この加害者であるという自覚を持ち、次世代に負の遺産を引き継がないという責任と覚悟を持たない限り、環境問題の解決に向けた正しいアプローチは見い出されません。わたしたちが目指す「環境にやさしい持続可能な社会」を実現するには、市民の皆さん一人ひとりが日常生活の中で行う地球環境の保護の必要性を正しく認識し、持続的に行動することが大きな力になるのです。ぜひご家族や職場でこのことについて話し合ってみてください。この「わがまちの環境を考える」では、これまで隔月で18回にわたり、「家庭ごみの減量化と紙ごみの分別」「エコドライブ」「節水」「自然体験を通じた環境学習」「節電」「リサイクル」「スギ林の保育」「住宅の断熱化」「家庭における省エネ」「食の地産地消」「カーシェアリング」「生物多様性とイノシシ対策」「自転車の利用」「不法投棄の根絶」などの環境課題を取り上げ、地域データを用いてそれらの必要性を説明してきました。それらをもう一度通して見ていただき、まずはできることから、家庭であるいは事業所でその中のどれか一つを取り上げてみてください。一人ひとりの取り組みは小さくとも、大勢が参加し積み上げれば大きな取り組みになります。一方、現在わたしたちが直面している環境問題に対する対策は、かなり厳しい状況にあります。たとえば、気候変動(地球温暖化)では、COP21で掲げた「2100年に地球表面の平均気温を産業革命時に比べ2℃以内に抑える」という目標の達成は、現状では難しい状況です。その達成には、削減効果の大きな対策を進めなければなりません。「住宅の断熱化」「再生可能エネルギーの地産地消」 「スローフード(食の地産地消)」などがそうした対策に当たります。こうした取り組みは、最近ほかの市町村で始まっています。那珂市でも、こうした取り組みをどのように取り入れていくかを市民と行政で議論していく必要があります。執筆:環境省環境カウンセラー勝井明憲9広報なか8月号