ブックタイトル広報なか 2017年4月号 No.147
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広報なか 2017年4月号 No.147
わがまちの環境を考える在来種を保護し地域の活性化につなげる ①の例に該当するのがアキアカネです。日本固有種、いわゆる在来種で、日本各地に広く分布しています。皆さんもよく知る「赤とんぼ」です。 アキアカネは梅雨ごろに水田などで羽化し、その後すぐに高地へ移動します。盛んにえさを食べて体重を増やし、十分に成熟すると体が赤く変化します。そして秋になると再び平地へ降りてきて繁殖活動を行うのです。暑さに弱いアキアカネは、秋までの長く暑い夏は高地で過ごし、 ①、②の混合した例として、霞ケ浦のタナゴ類が挙げられます。 生態系の分布として、霞ケ浦は淡水魚、汽水魚、海魚と多彩であり、その種類もほかの湖沼と比べ、極めて多いものでした。しかし、近年、水質汚染や外来種が侵入したことにより漁獲は著しく減っており、姿を消す種も出てくるのではないかと懸念されています。また、海との交流の産物だった魚も以前のように獲れなくなっています。 霞ケ浦の淡水魚の代名詞でもある在来種タナゴ類は、卵を二枚貝に産みます。その二枚貝類の減少などにより、タナゴ、アカヒレタビラ、ヤリタナゴはいずれも減少が著しく、かつて多産したゼニタナゴは、ついに本水系では絶滅したものと考えられています。在◆激減するアキアカネ◆霞ケ浦の在来種がピンチ!※在来種… ある地域に従来生息・生育している固有の動植物種をいう。外来種、外来生物、帰化植物に対して用いられ、一般的に、自然の回復には気候風土に合っているこれらの種類を用いるのが良いとされている(引用:「環境省 環境アセスメント用語集」) 近年、在来種(※)の生息が脅かされ、絶滅の危機にひんしている種も多く見られます。 この原因として「①人間の活動による生態系の破壊や乱獲、開発による生物種やその生息地の絶滅、減少」「②外来種の侵入による、既存生態系の破壊」「③里山などが人手により手入れされなくなったことによる、自然環境の変質」「④地球温暖化の影響」が考えられます。今回は、①、②について紹介します。卵を産む場所として水田をよく利用しています。水田は途中で干上がる危険性の低い、安定な水場であるためです。その結果、アキアカネは数の多いとんぼになりました。 しかし今、赤とんぼが飛び交う光景が各地から消えつつあります。個体数の調査で、2000 年ごろから急激に減少し始めたことが分かりました。その原因は、1990年代後半から普及し始めた、稲の育苗箱に用いられる殺虫剤によるものだと考えられています。来種タナゴ類は、タイリクバラタナゴ、オオタナゴといった外来種、特に2000 年ごろに侵入したオオタナゴの大量繁殖により、ほぼ駆逐されてしまいました。侵入経路は「観賞用として輸入されたものが湖に放流」「輸入した淡水真珠養殖用の二枚貝にオオタナゴの卵や小魚が含まれた可能性」の2説があるようです。また、観賞魚業者や釣り人によるオオタナゴの持ち出しが後を絶たず、流域外への生息拡大も懸念されています。 外来種による影響はさまざまで「在来種の捕食」「近縁な在来種との交雑」「寄生生物の持ち込み」などにより本来の生態系へ影響をもたらします。また、生態系の変化により「農林水産業被害」「人間への健康被害」を新たに引き起こす場合もあります。16