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概要

広報結城 2017年3月号 No.666

未来をひらく詩のコンクール2■創設9周年 市民情報センターで2月12日、第9回新川和江賞?未来をひらく詩のコンクール?の表彰式が行われました。 新川和江賞は、市民情報センターとゆうき図書館の開館5周年記念事業として、本市の名誉市民であり、ゆうき図書館名誉館長の詩人・新川和江さんの名を冠して創設された、詩のコンクールです。 今回は応募数2304篇の中から、新川和江賞(最優秀賞)に浅利直弥さん(結城小学校6年)が輝き、優秀賞に8人、優良賞に26人が選ばれました。表彰式では、受賞者による受賞作品の朗読と、新川さんによる講評が行われました。短評  河原の石河原にはたくさんの石がある山の上から転がって行きつく先は大海原上流の水は、速い。まるで新幹線のよう速い流れで運ばれてくるのは、角ばった石その石と石がぶつかりケンカしているまるで、おじさんが怒っているようだ中流の水は、おだやか。まるで自転車に乗っている高校生のようおだやかな流れで運ばれてくるのは少し丸くなった角ばった石その石と石がぶつかり遊んでいるまるで、鬼ごっこしている子供のようだ下流の水は、のんびり。まるで、散歩しているおばあちゃんのようのんびりな流れで運ばれてくるのは、丸い石その石と石がぶつかり笑っているフフフフフ、フフフフフずっとほほえんでいるようだどんどん どんどん 丸くなりどんどん どんどん 優しくなる河原の石は人のよう新川和江賞 山に降った雨が集って川となり、やがては海にたどり着く。水の旅をふつうは書きたくなるものなのですが、その水に流される石のことを書こうとなさった浅利さんの着眼点に、石にことよせて何かいいたいことをお持ちなのだな、と感じました。 〈まるで〉という言葉がたびたび出てくることに、皆さんもお気付きでしょう。〈ちょうど〉とか〈そっくり〉とか、ほかの物にたとえて表現するときに用いる言葉ですが、浅利さんのこの詩の場合、その比喩表現が、目がさめるように新鮮で、豊かで、それにユーモアがあるのです。急な流れを〈新幹線〉にたとえ、おだやかになった中流の水を、長い脚がゆっくりとペダルを踏む〈自転車に乗った高校生〉の姿を私たちに連想させてくれます。 上流でははげしくぶつかり合って、ケンカしているおじさんのようだった石も、平野を流れる川の中では、〈鬼ごっこしている子ども〉のように、たのしげになります。ずっと読みすすんでいくと、河原の石に浅利さんは、人間の一生を重ねて書こうとなさったのではないか、ということが分かってきます。たのしいだけでなく、深い重みも持った作品です。 結城小学校 六年 浅利 直弥川和江賞