ブックタイトル広報かさま 2017年2月号 vol.131
- ページ
- 17/24
このページは 広報かさま 2017年2月号 vol.131 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 広報かさま 2017年2月号 vol.131 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
広報かさま 2017年2月号 vol.131
昨年10月、NHKスペシャル「血糖値スパイクが危ない」で、食後にみられるスパイク状の血糖上昇が取り上げられました。糖尿病になると空腹時血糖も上昇し24時間高血糖が持続するのですが、境界域(糖尿病と正常の間)では食後のみしか上昇しません。しかし境界域ですでに脳卒中や心筋梗塞等が増加しており、血糖値の変動が血管を傷つけ動脈硬化を起こす原因と考えられています。 健診等では血糖や尿糖を測りますが、空腹時の検査であることが多く血糖値スパイクは見逃されます。過去2か月程度の血糖コントロール状況を表すHbA1c値も、食後のみの血糖上昇ではあまり増加しません。空腹時血糖(126㎎/?以上で糖尿病)は、110㎎/?以上(家族歴があれば100m㎎/?でも)・HbA1c(6・5%以上で糖尿病相当)は、6・0%以上(家族歴があれば5・6%でも)ならば、食後の血糖推移を推定するブドウ糖負荷試験などをお勧めします。75gブドウ糖液摂取後2時間値で、境界域なら140㎎/?以上・糖尿病なら200㎎/?以上に上昇します。簡易的には薬局等でも市販されている試験紙も有効で、食後尿糖陽性なら170m㎎/?以上の食後高血糖が疑われます。 食後血糖上昇は膵臓β細胞のインスリン分泌を促し、肝臓・筋肉・脂肪などに糖を取り込ませて血糖を下げます。糖質の摂り過ぎが繰り返されると膵β細胞が疲弊し、インスリン分泌が不可逆的に低下し糖尿病に移行するのです。インスリン分泌能力の高い人は余分な糖を脂肪に変えて太ることで高血糖を抑制しますが、いつかは限界がきます。日本人には遺伝的にインスリン分泌能力が低い人が多いので、太れないまま糖尿病に移行することも多いので要注意です。 超高齢社会を迎えた現在、肥満の有無にかかわらず全ての人が膵β細胞の老化を意識しなければなりません。間食を含めた糖質の摂り過ぎはもちろん、野菜を先、糖質を後に食べたり、食後運動したりすることで食後血糖上昇を抑えましょう。膵β細胞を労わることで、長い年月無理なくがんばってもらえるのです。血糖値スパイクと超高齢社会― 全ての人が気にするべき食後の血糖上昇―笠間市立病院石いしつか塚恒つ ね夫お笠間の歴史探訪34笠間市街の愛宕町から国道50号を横切り旧水戸街道を東へ進み、才木を経て大渕の集落に入ります。同集落の東端、左手に見えてくる石の鳥居の奥、小高い林の中に天神社が鎮座します。鎌倉時代に佐白山中に築城した笠かさ ま 間時ときとも朝 は、笠間城の鬼門封じのため京都・北野天満宮の祭神菅す がわら原道みちざね真を勧請して大渕の地に天神社を創建したと伝えられます。その後、同社は衰退しますが、江戸時代前期の正保二年(一六四五)に笠間新町で酒の醸造を営む滝た き の 野伊い兵ひょう え 衛 が地元民と共に社殿を再建、神職を迎えて同社を復興しました。遷宮を記念して、伊兵衛は連歌と歌仙額を奉納しました。歌仙額とは、平安時代中期の歌人藤ふ じわら原公きんとう任が選んだ三十六人の歌人の肖像画と詠歌とを、横長の額(扁額)に仕立てたものです。天神社の歌仙額は扁額一面に三人の歌人の肖像画と詠歌から成り、十二面ありました。肖像画は江戸狩野派の狩か の う 野荘しょうざえもん左衛門が描き、伊兵衛自らが和歌を揮き ご う 毫したもので、絵も書も見事なものです。滝野家歴代の当主は歌仙額の保存に尽力してきました。ところが、これら歌仙額が盗難に遭っています。損傷の進んだ一面( 山や まべの部赤あかひと人・紀き の貫つらゆき之・伊い勢せの三人)のみを残し、他の扁額は鋭利な刃物で表部分が切り取られ、額のみが残っていました。誠に残念です。拝殿中央の長な げ し 押には、天明四年(一七八四)、世継ぎ時代の笠間藩の名君、牧ま き の 野貞さだはる喜が巨大なケヤキの一枚板に揮毫・奉納した「天神社」の社名板額(笠間市指定文化財)が、夭ようせつ折 した長子貞さだため為の八歳の折りの書を刻んだ板額と共に掲げられています。わが子の成長を願う親心ですね。子どもの頃、天神講の行事で、書の上達を願って書を奉納したことが思い出されます。後ごと う 藤縫ぬいのすけ之助が彫刻を担当した本殿と、その傍らの「つくばねかし」の樹木は共に笠間市指定文化財です。氏子の人々は損傷の進んだ拝殿を建て替え、信仰の場と貴重な文化財の保持に努めています。(市史研究員矢や ぐ ち 口圭けいじ二)大渕の天てん神社天神社(大渕)市立病院の医療コラム5517 平成29年 広報かさま2月号(vol.131)