ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第10号2014(平成26年度)

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概要

茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第10号2014(平成26年度)

Ⅵ研究報告・調査報告粒子である。2.3光減衰成分毎の寄与率の算出Kirk 1)は,水中に入射した光は,植物プランクトン(本研究におけるPOM)とトリプトン,有色溶存物質(CDM),水自身の影響を受けて減衰することを示している。本研究も同様に,4成分でK dSが決定されると仮定した(式4)。各成分の鉛直消散係数は,それぞれの比鉛直消散係数と濃度をかけることで得られるため,式4は,式5に変換することができる。+ CDM ・・・・式4+0.039・・・・式5Tripton +δ? CDMK p : POMの鉛直消散係数(m -1 ), K T :トリプトンの鉛直消散係数(m -1), K CDM : CDMの鉛直消散係数(m -1),K W :水の鉛直消散係数(0.039m -1),α: POMの比鉛直消散係数(m 2 g POM -1),β:トリプトンの比鉛直消散係数(m 2 g Tripton -1),γ: CDMの比鉛直消散係数(m 2 g CDM -1)深度0 mから2 mにおける鉛直消散係数K dSの季節変化を図1に示した。K dSは,1.39 m -1から3.32m -1の範囲で変動し,最大値は2004年に観測された。1978年から1992年は概ね2.00 m -1以下の値で推移し,平均値は1.86 m -1であった。相対照度の季節変動が不明瞭となった1993年から2010年かけてのK dSは,概ね2.00 m -1以上の値で推移しており,K dSの平均値は2.64 m -1であった。3.2 POM・トリプトン濃度の経年変化深度0 mから2 mにおけるSS濃度とSSの構成成分であるPOMとトリプトン濃度の経年変化をFig.2に示した。SSとPOM,トリプトン濃度は,それぞれ9.3 mg L -1から33 mg L -1,5.2 mg L -1から14 mg L -1,1.8 mg L -1から25 mg L -1の範囲で変動し,1993年以降の増加はトリプトン濃度の増加であることが示された。本研究では,POMとトリプトン濃度の傾向によって,霞ヶ浦の経年変化をステージⅠ(1978年~1992年の15年間),Ⅱ(1993年~1998年の6年間),Ⅲ(1999年~2006年の8年間),Ⅳ(2007年~2010年の4年間)の4つに時代区分した。また,霞ヶ浦の透明度は,SSと有意な関係がある4)。本研究でも表層のSS濃度とK dSの相関を検討したところ,有意で高い相関が得られたため,有色溶存物質と水の鉛直消散係数(K CDM +K W)をγで表すこととし,式6からPOMおよびトリプトンの比鉛直消散係数α,βとγを求めた。Tripton ・・・・式6α,β,γは,K dSを目的変数に,POMおよびトリプトンの濃度を説明変数とした重回帰分析を行うことで得た。重回帰分析には,Kyplot 5.0(KyensLab, Japan)を使用した。また,重回帰分析で得られたα,β,γの値を用いて,式6からK dSの計算値(K dS calc)を求め,K dS calcがK dSを十分説明しているかを検証した。その後,各年の光減衰成分の寄与率は,α,β,γの値を代入した式7で計算したK pおよびK T,K CDM+K WをK dS calcで割ることで得た。3結果3.1 K dSの経年変化3.3光減衰成分毎のK dSに対する寄与率の経年変化SSとPOM,トリプトン濃度とK dSとの関係を図3に示した。表層におけるSS濃度とK dSは,1978年から2010年の全ての年で,有意で高い正の相関を示し(Fig.3a; R 2 = 0.82, P <0.001, n = 33),ステージⅢを除いたステージⅠとⅡ,ⅣのK dSは,POMに対して有意で高い正の相関を示した(図3b; R 2 = 0.76, P <0.001, n = 25)。また,ステージⅢ(1999年から2006年)のK dSは,トリプトンに対して,有意で高い正の相関を示し(図3 c; R 2 =0.87, P <0.001, n = 8)。以上のことから,霞ヶ浦のK dSは,SSを構成するPOMとトリプトンが制御しているとみなし,式7を用いてPOMとトリプトンの比鉛直消散係数α,βと有色溶存物質と水の鉛直消散係数γを重回帰分析で決定した。その結果,α,β,γは,それぞれ0.150,0.070,0.321となったため,得られた値を式6に代入し,式7を得た。= 0.150 ? POM + 0.070 ? Tripton + 0.321・・・・式7茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No.10 201439