ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第10号2014(平成26年度)

ページ
152/206

このページは 茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第10号2014(平成26年度) の電子ブックに掲載されている152ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第10号2014(平成26年度)

Ⅵ研究報告・調査報告図2に各地点のオゾン生成能を採取開始日毎に示した。なお,オゾン生成能が比較的高かったプロピレン,1-ブテン,トルエン,キシレン(m,p-キシレンとo-キシレンの合計)及び植物起源VOCであるイソプレン,ピネン(α-ピネンとβ-ピネンの合計)を代表として示し,それ以外の項目はその他とした。VOC全体のオゾン生成能で地点別に比較すると,常陸那珂勝田が9か月中6か月で最も高かった。全5地点で常陸那珂勝田周辺が最も市街化されている地点であり,発生源からの影響を大きく受けていると考えられる。項目別では,年間を通じてトルエン及びプロピレンの合計がVOC全体の40~60%を占めた。これらは濃度及びMIR値が共に高いことから,調査対象地域においてオゾン生成への寄与が大きい物質であることが分かった。1-ブテンは8月20日に採取した日立南部,常陸那珂勝田及び那珂の3地点で共通して高くなった。トルエンは9月18日に採取した常陸那珂勝田,常陸那珂東海の2地点と比較して放射線センターで2倍以上の割合となった。特定の日に各地で共通してオゾン生成能が高くなる1-ブテンや,局地的にオゾン生成能が高くなるトルエン等があり,物質により特徴が見られた。イソプレン及びピネン2項目のオゾン生成能を合計した値は8月20日に採取した日立南部で12.6μg-O3/m 3(割合9.9%),那珂で18.7μg-O3/m 3(割合12.1%),9月18日に採取した常陸那珂東海で10.8μg-O3/m 3(割合10.0%)であり,植物起源VOCは夏期が最も高かった。夏期以外の季節はVOC全体に対する植物起源VOCの割合は10%未満であり,オゾン生成への寄与はあまりなかった。測定時間中の最高Ox濃度とオゾン生成能の増減を比較すると,増減の傾向は概ね一致しており,大気中のVOCがオゾン生成に関与していることが示唆された。常陸那珂勝田において,表2の平均NMHC濃度及び図2のオゾン生成能を比較すると,増減の傾向は概ね一致しており,常時監視の値からVOC濃度全体の傾向をある程度把握できると見られる。4まとめ常時監視データを補完する測定を実施し,オゾン濃度等をより詳細に調査できるようになった。揮発性有機化合物(VOC)について東海,ひたちなか地域におけるオゾン生成能を評価し,実態の把握に繋がった。5今後の方針東海・ひたちなか地域におけるVOCについて特徴的な傾向を把握するため,平成29年度まで本調査を継続する予定である。参考文献1)環境省,各都道府県における光化学オキシダント注意報等発令日数の推移http://www.env.go.jp/air/osen/pc_oxidant/days_adv.pdf2)茨城県環境対策課,光化学スモッグ発生状況資料http://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/kantai/taiki/environment/documents/h26-smog-sanko-shiryo.pdf3)石井真理奈,上野広行,石井康一郎(2009):環境中の植物起源VOC濃度測定,東京都環境科学研究所年報,pp118-122.4) W.P.L. Carter (2010) : Updated Chemical Mechanisms for Airshed Model Applications,Revised Final Report to the California Air Resources Board.茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No.10 2014147