ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第10号2014(平成26年度)
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茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第10号2014(平成26年度)
Ⅵ研究報告・調査報告(2)植物プランクトン由来有機炭素の動態モデル構築(1)の実験結果を用いて,植物プランクトン由来有機炭素の動態モデルを構築した。このモデルは,西浦を1つの均質な箱と考え,植物プランクトン由来有機炭素の濃度を生T0:38.87℃産速度と分解速度,湖水回転率より算出するものである。このモデルによる計算結果の1例を図3に示す。有機炭素分解の最適温度(T0)が38.87℃の時にL-POC濃度の実測図3 L-POCの実測値とモデルによる計算値値とモデル計算値が良い一致を示した。(3)有機炭素収支の検討上記(2)のモデルから求めた植物プランクトンの産生する各種の有機炭素の変化量に,底泥からの溶出量及び河川水中の有機物量に関するデータを加え(表1),湖内の有機炭素の物質収支を推計した。図4及び図5には懸濁態と溶存態に分けた有機炭素の収支を示す。1懸濁態有機物にかかる炭素収支湖内に負荷されるPOCは,植物プランクトンによるものを主とし,河川等からのものを含め約65,000 tC/yが負荷され,その約75%が無機化,約6%が流出,約8%が溶存態有機物に変化,約11%が湖底に堆積すると試算された。2溶存態有機物にかかる炭素収支湖内に負荷されるDOCは,植物プランクトン由来のDOCが約57%を占め,河川から流入するDOCの約2倍,底泥から溶出するDOCの約5倍に相当し,全体で約9,000 tC/yとなった。負荷されたDOCは,約52%が無機化,残り約48%が流出すると試算された。3有機炭素の発生源別寄与率懸濁態有機炭素の大部分と溶存態有機炭素の32%が植物プランクトン由来であり,また,湖内の有機炭素の78%が湖内で生じているものであることが判明した(図6)。4まとめ有機炭素の収支からは,植物プランクトンによる負荷が大きく,湖内水質に対しては懸濁態のみならず溶存態の有機物量に多大な影響を与えていることが示され,植物プランクトンの増殖抑制策として,より一層の栄養塩の削減対策が必要と考えられた。120茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No.10 2014