ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第10号2014(平成26年度)

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概要

茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第10号2014(平成26年度)

Ⅵ研究報告・調査報告1-16植物プランクトンの群集構造に影響する環境因子の解明に関する研究(H22~H26)1目的霞ヶ浦の有機的汚濁(COD上昇)の起源となる植物プランクトン,とりわけ糸状藍藻Planktothrixの優占機構を明らかにする。2事業内容(1)霞ヶ浦から分離したPlanktothrixの増殖特性の検討(2) Planktothrixの優占機構の検討(3)霞ヶ浦における光環境の長期的変遷の解析3結果の概要(1)霞ヶ浦から分離したPlanktothrixの増殖特性の検討霞ヶ浦から分離したPlanktothrixを光強度及び温度を変えて培養を行い,増殖速度を調べた。霞ヶ浦の西浦では,透明度があまり高くない時期にPlanktothrixの優占が見られたことから,光強度が強くない条件下で比増殖速度が大きくなるものと考えられたが,比増殖速度は図1に示すように光強度または水温が高くなるに連れ,大きくなった。図1からは,水温が20℃以下では光強度によらず,0.2~0.3の比増殖速度が得られ,水温に依存しないことが判明した。光強度が2μmolsm -2 sec -1で,水温が28℃の比増殖速度が24℃に比べ急激に低下している理由としては,光環境が悪い中で水温が高くなり,増殖よりも死滅する細胞が増えたためと考えられる。図1比増殖速度と光強度,水温の関係(2) Planktothrixの優占機構の検討2月の霞ヶ浦の湖水を表層と深度3 mで1週間培養し,培養前後での植物プランクトンの組成変化を調査した。培養前後の変化は,植物プランクトンの生体積及び組成比率でみても,表層付近で培養したものは,ハリケイソウが優占し,深度3 mで培養したものは,Planktothrixが優占した(図2)。このことから,Planktothrixは低水温の弱光環境下で,他の植物プランクトンとの競争に勝り,優占することが明らかとなった。116茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No.10 2014