ブックタイトル水戸商工会議所会報 2016年4月号 vol.654

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水戸商工会議所会報 2016年4月号 vol.654

【寄稿】水戸テクノ倶楽部足利流5S工場見学会平沼産業代表取締役平沼憲一3月16日、水戸テクノ倶楽部は、工業部会・産業活性化委員会と共催で、足利流5S勉強会・工場見学会を開催した。参加者は14人。5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の見学先は、オグラ金属、菊地歯車。その後、佐野市へ移動して第一酒造を見学した。足利流5Sの骨子は「働く人たちのために」、「真理を追究する」とあり、5S活動も「期限を切らない」、「採点しない」、「成果はオープンに」といった現場の自主性を尊重することが特徴となっている。業種も、製造業から学校、飲食店などに広がっており、現在その理念や手法を学び、活動中である。最初に訪れたオグラ金属では、小倉会長から「従業員が自主的に取り組むまで、口を出さないように我慢するのが大変だった」と述べられたのが印象的であった。社内を見学して「社員が創る世界一の魅せる化5Sテーマパーク工場」の名に恥じない、まるで学園祭のような取り組みに驚いたが、大きな成果に貢献している事を聞いて、うなずけるものがあった。玄関横には、「バックトゥーザフューチャー」と名付けられた製品展示ルームが設置され、オグラ金属の歴史と、手がけてきた製品の数々が順次見てわかるように配置されていたのが特徴的だった。続いて菊地歯車では、高価な海外の工作機械が所狭しと並んでいた。工場内には、工具や備品を整理するために有効な「イレクター」と呼ばれる棚や台車がたくさん配備されていた。これは、いくつものパイプをジョイントで組み合わせるもので、場所や用途によって、従業員が創意工夫して組み上げたすぐれもの。事例紹介では「これなら腰をかがめず道具がとり出せ、動作も自然体で無理が出ない」と一同感心した。また、問題があれば写真を撮影し、ホワイトボードに掲示。問題解決後の写真も掲載して比較することで、実にわかりやすくなっている。幹部の方が、「足利流5Sでは、生産性向上など、数字の管理指標を持たない現場主体の取り組みだが、確実に人づくりにつながっている」と強調されていた。同社の5S活動は、一事が万事、全てに〝ここまでやるか?の基本理念と実行力に満ちあふれている。驚いたのは、潤滑油使用の工作機械が多いにもかかわらず、現場には油のシミ一つ見当たらない。幹部から苦労話としていただいた「5Sは奥が深いので、まだやる事がたくさんある」、「気を抜くと、いつの間にか元に戻っている、まるでらせん階段を昇るようなもの」という自戒の言葉が印象的であった。さすがに5Sでトップを走る会社は違うなと感嘆した。業績も好調で、4月には、海外大手航空機メーカーに直接納入するエンジン部品を生産するため、20億円を投資して、新会社・新工場を立ち上げる予定だという。最後の見学先、第一酒造では、酒の造り手、杜氏(とうじ)の方から工場をご案内いただいた後、国際線のビジネス、ファーストクラスで出されている日本酒を試飲し、その味を各々の舌で堪能した。水戸の魚誠に戻り開催した交流会には、水戸市長、工業部会長も参加され、日頃の情報交換と、名物あんこう料理やおいしいお酒を楽しみ、大変盛況であった。次回の見学会も期待したい。Industrial Network Site Mito工業振興情報17水戸商工会議所会報No.654 2016年4月