ブックタイトル広報 結城 2015年12月号 No.651

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概要

広報 結城 2015年12月号 No.651

15第五十一回〈前回のあらすじ〉将門の館に夜討ちをかけた良兼の一隊は、将門の逆襲にあい、その半数が討取られました。良兼はこの敗戦と病気によって亡くなってしまい、勢いのついた将門は常陸・下野・武蔵・相模の国を次々と攻め落としていきました。天慶二年(九三九年)十二月十五日、常陸・下野・武蔵・相模の領地を新しい国として、将門が治めることにしました。諸国に役人を置き、将門も親皇という役につきました。新しい政治をする館の建築も始まりました。新しい国の政治も順調に進み、政治をとる館の建築も着々と進んでいきました新。皇としての職務は今まで経験したことのない新しい仕事ばかりなので、将門は大変疲れを感じました。館に帰って床につくと、死んだようにぐっすりと眠りこんでしまう毎日でした。ある夜のことです。将門の夢の中に、将門が守り本尊としておまつりしている不動明王が現れました。不動明王は、真っ赤に燃えさかる炎の中で、右手に剣を、左手に縄を持ち静かに端座していました。やがて立ち上がると将門の近くに歩み寄り、カッと見開いた眼で、将門をじっと見つめていました。しばらくして、不動明王は静かな口調で将門に話しかけました。「将門よ、わたしはお前の守り本尊の不動明王だ。お前は、天に太陽が一つしかないことを知っているであろう。それと同じく、日本の国には、天皇は一人しかいないのだ。今、日本の国は、天皇が治めている。それなのに、お前は新しい国をつくって新皇となり、新しい国を治めはじめた。天皇に逆らうことは、天に向かってつばをはくようなものだ。天に向かってはいたつばは、また落ちてきてお前の顔にかかり、お前の顔を汚してしまうだろう。それと同じように、天皇に逆らうとお前は反逆者という悪名をきさせられてしまうのだ。すぐに、自分が新皇として新しい国を治めていくというような考えはすてなさい。そして、天皇をお助けするようにしなさい。お前がそうするなら、お前の子どもや孫の代まで、よいことが続くだろう。もし、わたしの言う事をきかず、新皇として新しい国を治めていくことが続けば、天皇は大軍でお前を征伐にくるだろう。そうなれば、守り本尊としてお前を救ってやることはできなくなってしまうのだ」話し終わった不動明王の両眼から血の涙がこぼれ落ちました。将門は、あたりを見回しましたが、そこには暗闇が残っているだけで、不動明王の姿はどこにも見当たりませんでした。将門の全身は、汗でぐっしょりと濡れていました。しばらくの間、将門は暗闇の中で眼を見開いたままじっとしていましたが、いつのまにか闇の中に吸い入ってしまいました。(その十四へつづく)不動明王(十三)市の人口・52,664人(男:26,448人・女:26,216人/19,696世帯)11月1日現在有料広告欄