ブックタイトル広報かさま 2015年10月号 vol.115

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概要

広報かさま 2015年10月号 vol.115

超高齢社会を迎え、認知症患者が増加しています。2012年時点で65歳以上の7人に1人(15%)が認知症患者であり、軽度認知障害の人も加えると4人に1人です。認知症患者増加には、糖尿病の罹患率増加が関与しています。現状のまま糖尿病患者が増えると、2025年には5人に1人(20%)以上が認知症患者になります。予防法や治療法が確立されない現状では、認知症は誰がかかってもおかしくないのです。国も平成25年にオレンジプラン、平成27年に新オレンジプランと、欧米にならった認知症国家戦略を打ち出しています。これまでのケアは症状の進行・悪化による危機が発生してからの事後的対応であり、病院への長期入院や施設入所が必要となりました。今後は早期診断・早期対応を充実させることにより、住み慣れた自宅・地域で暮らし続けることができる社会を目指しています。すでに始まっている認知症サポーター養成では、疾患としての理解や患者への対応法を学びます。小中学生も含めた地域住民を対象に講座が開催され、受講者にはオレンジリングが渡されます。その他には、認知症患者や家族・サポーターが集い情報交換できる認知症カフェが準備されています。また医療・介護の専門職が患者さん宅を訪問し、早期診断・早期対応を推進する認知症初期集中支援チームが動き出します。まだ認知機能が保たれているうちに患者さんの思いや価値観を聞き出し、今後のケアに生かすことが課題です。認知症の発症予防には、運動や糖尿病などの生活習慣病対策が有効とされますし、薬によりある程度の進行抑制も可能かもしれません。しかし、何より大事なのは「社会参加」することだと、実際の成功例から考えられるようになっています。もし、自分が認知症になったとしても、どうすれば住み慣れた地域で暮らし続けられるでしょうか。「先輩」から教えを乞いながら「先輩」に対して実践することが、将来の自分のためになるのかもしれません。認知症ケアのパラダイムシフト―「ならないように」から「なったとしても」へ―笠間市立病院石いしつか塚恒つね夫お笠間の歴史探訪26国道三五五号岩間泉から西へ二キロメートル、仲村地内に嶽がくなんざん南山慈じがんいん眼院清きよたきじ滝寺(通称・隠沢観音堂)があります。堂内に十一面観世音像(市指定文化財)を有し、ひっそりと佇たたんずでいます。平成二十四年大嵐の夜、裏山から大木が倒れて堂を直撃し、屋根が大きく損壊しました。幸い堂内の十一面観世音像は無事でしたが、雨風にさらされてはと、堂の管理をしている手越の東とうしょうじ性寺に預けられました。空になった堂は市の指定を解除され、訪れる人もなく寂しい姿となり、それを憂うれいた東性寺は、修理に取り掛かりました。屋根や内装も、立派な厨ず子しとともに修理しました。昨年七月、修理が完了し、十一面観世音像を戻した堂で、「改修記念開帳法要」が近隣住民と共に行われました。長い間無住状態が続いていた堂の再建に地域の人たちは大変喜び、「私たちの手で守っていこう」と誓いました。今年の七月もまた、御開帳法要を行い、少しずつ昔の姿を取り戻しつつあります。そもそもこの隠沢観音は養老四年(七二〇)に創建され、当時は裏山の嶽南山堂どうだいら平にあったといわれます。それを、土浦藩領時代、藩主土つち屋や政まさなお直が、延宝元年(一六七三)現在の地に移して改築しました。本堂、客殿、楼門、黒門を整備して延宝九年(一六八一)に完成し、土浦藩の祈願所として、石高一〇石が寄進され、保護されてきました。隠沢観音は大正・昭和の時代まで安産祈願の守り神として大変盛んになりました。毎月十日が観音様の縁日で、早い時間にお参りに行くのがよいとされていたため、遠方から熱心な信者が朝から月参りに訪れていました。特に、七月十日は、朝観音と称して早朝から信者が集まり、堂内では御祈祷が行われました。「四万五千日お参りしたのと同じご利りや益くがある」と近隣の町村や県外からも講こうじゅう中の信者がこぞって訪れました。最近、山根北地区の子こや安す講こう中の方々から、昔から使われてきた子授け・安産・子育て祈願の掛け軸と講中名簿・古銭(紐でつないだ賽銭)など十数点が笠間市に寄贈されました。今でも地区の繁栄と子どもの無事を願って集う子安講の姿は、ほのぼのと私たちの心を和ませてくれます。この穏やかな営みも、隠沢観音あってのご利益でしょうか。一度訪ねてみてはいかがですか。(市史研究員川かわさき崎史ふみ子こ)改修された隠かくれざわ沢観音堂隠沢観音堂市立病院の医療コラム47平成27年広報かさま10月号(vol.115)25