ブックタイトル茨城県近代美術館/美術館だより No.102

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概要

茨城県近代美術館/美術館だより No.102

展覧会紹介幸せはどこにある?茨城県近代美術館会期:11月21日(土)~平成28年1月17日(日)休館日:月曜日※ただし11月23日(月・祝)・1月11日(月・祝)は開館、11月24日(火)・1月12日(火)・年末年始[12月29日(火)~1月1日(金)]は休館開館時間:午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)入場料:一般600(480)円、高大生360(310)円、小中生240(170)円※()内は20名以上の団体料金※土曜日は高校生以下無料(冬休み期間を除く)主催:茨城県近代美術館後援:水戸市/朝日新聞水戸総局/茨城新聞社/株式会社茨城放送/NHK水戸放送局/産経新聞社水戸支局/東京新聞水戸支局/日本経済新聞水戸支局/毎日新聞水戸支局/読売新聞水戸支局展覧会の概要あなたにとって「幸福」とは何でしょうか?私たちが「幸せ」になるために必要なのは、お金、地位、それとも名誉、権力・・・?近年、GDP(国内総生産)といった経済的な尺度に替わる、新しい物差しとして「幸福度」「GNH(国民総幸福量)」が注目を集め、それらを測る科学的な学問として「幸福学」が脚光を浴びています。国連が発表した幸福度ランキング調査によると、先進国である日本は第46位。物質的豊かさは、必ずしも生活や人生の満足度につながっていないということが明らかになってきました。「幸福度」は所得などの経済的要素だけではなく、家族や社会との関わり合いといった様々な要素で構成されています。「幸せはどこにある?」という問いは、高度に成熟した社会に生きる我々の多様な価値観を浮かび上がらせることになるでしょう。この秋の企画展は、茨城県近代美術館の所蔵品約3,700点のなかから選りすぐりの作品を新たな視点で発掘するテーマ展です。今回の発掘テーマは「幸福」。古今東西、美術作品には、我々の人生の大切なワンシーンが描かれてきました。我々の人生における「幸せ」が甘美で優しいものばかりではなく、時に厳しさの中にこそあり、また時にほろ苦いものであるように、作品に描き留められた「幸せ」のイメージもまた、ひととおりではありません。作品から拾い集めた様々なかたちの「幸せ」にふれながら、多様な角度から「幸福」について考えるヒントになれば幸いです。見どころ本展は、当館のコレクションの中にあらわされた「幸せ」のかたちをいくつかのキーワードによって採集していくという構成です。第一のキーワードは「コミュニティ」。多くの芸術家たちは、家族、仲間、ふるさとなど、自分をとりまく人や場所を記録し、描く対象としてきました。「ともに生きる歓び」は国や時代を越えて、普遍的な主題といえますが、「わたしをめぐる繋がり」の場面にあらためてフォーカスしてみたいと思います。もうひとつ、我々の生活を支える上で不可欠なのが、「しごと」。人は働かなくては、生きてはいけません。しかし労働がもたらすものは、その対価としてのお金だけとは言い切れないものです。働くことは、「自己実現」のひとつにもなり、それが誰かの人生の役に立ち、そして社会全体の幸福につながっている。楽しいだけではありませんが、充実の時間です。さて、幸せの反対は何でしょうか。3つめのキーワードは「逆境」。人生には喪失、挫折といった出来事がつきものです。不幸は幸せの映し鏡で、我々があらためて「幸せ」について考えるのは、困難の淵にある時かもしれません。普段、あれもこれもと望んでしまうのが人間ですが、逆境の中でこそ見えてくるひとつの希望とは、何でしょうか。最後のキーワードは「ユートピア(理想郷)」です。人は、現実に向き合いながらも、今ここにはない幸せ、理想を描きながら生きています。ユートピアは、「幸せ」を考えた究極のかたち。理想はそれぞれ違うから面白いものです。ここでは「ねがう心」が描き出した幻想的な世界をご紹介します。当館自慢の名品、横山大観「流燈」は、願いが叶ったときにガンジス川に感謝を込めて灯火を流す儀式の場面を描いたもの。こちらもぜひお見逃しなく。[近代美術館主任学芸員花井久穂]横山大観「流燈」1909年茨城県近代美術館蔵前川千帆「新東京百景-ミニチアゴルフ」1931年茨城県近代美術館蔵野田哲也「日記1977年8月10日」1977年茨城県近代美術館蔵4