ブックタイトル茨城県近代美術館/美術館だより No.101

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概要

茨城県近代美術館/美術館だより No.101

事業レポート茨城県近代美術館企画展「笑う美術」アーティストトーク茨城県天心記念五浦美術館新納忠之介旧蔵資料の調査・研究について企画展「笑う美術」(2月21日~4月19日)では、江戸時代の絵画から現代美術まで、幅広い時代とジャンルの作品をお楽しみいただきました。中でも、当館では初めての展示となった福田美蘭氏、山口晃氏、木村太陽氏といった現代美術家のひねりの効いた作品が注目を集めましたが、3月8日には山口晃氏、3月22日には木村太陽氏によるアーティストトークとサイン会を開催し、じかに作家から話を聞き、触れ合うことのできる機会といたしました。古典絵画の形式を借りながら、現代と過去のモティーフを同居させ様々な仕掛けを施す作品で知られる山口氏のトークでは、ホワイトボードに即興で絵を描いたり言葉や図を示したりしながら、自身の制作や日頃考えていることなどについてお話いただきました。身振り手振りを加えながらの軽妙なトークで会場に詰めかけた観客を大いに沸かせた山口氏ですが、最後には中学生からの質問にも丁寧に言葉を選びながら答えていただき、その誠実な人柄に親近感をおぼえた方も多かったことと思います。また、日常の中に潜む違和感を見出し身近な素材を用いながら、滑稽味やグロテスク感を伴う作品を発表している木村氏には、展示室内で自身の作品について解説をしていただいた後、スライドを使用しながらこれまでの制作活動や創作のねらいについてお話しいただきました。木村氏独自の視点やユニークなアイディアの源泉などは、私たちが日常の中でいかに様々な事柄を見過ごしているかに気づかされ、新たな世界観を獲得する機会となりました。明治30年(1897)古社寺保存法が制定され日本の文化財保護行政が産声を上げました。その黎明期に岡倉天心から国宝の仏像や神像の修理を任されにいろた新納忠之介は、日本美術院第二部の責任者として奈良に本拠を置き、近代的な仏像修理を確立した人物です。天心記念五新納忠之介(明治36~40年頃)浦美術館では、今年の3月に遺族から新納忠之介の旧蔵資料約2300件という大量の寄贈を受けました。これらの資料の中には、今まで存在すら知られていなかった、明治24年東京美術学校でフェノロサが行った「日本美術史」の講義録ノートをはじめ、天心全集に未採録の2通を含む36通の岡倉天心書簡など、日本近代美術史上重要な資料が多く含まれています。これだけまとまった数の資料の内容や歴史的意義を知るためには長期にわたる研究が必要であり、そのため五浦美術館では、今年度より公益財団法人ポーラ美術振興財団からの助成を受け、この貴重な資料の調査を開始しました。この調査研究はその緒に就いたばかりで、目下寸法を測ったり写真撮影を行ったりした後、これらノートや書簡の解読作業といった資料の基礎的なデータ収集に取り組んでいるところです。今後3年から5年をかけて新納資料の全貌が解明できればと考えています。山口晃氏(講堂にて)木村太陽氏(写真中央、企画展示室にて)「日本美術史」ノート天心書簡の撮影5