ブックタイトル茨城県近代美術館/美術館だより No.100
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茨城県近代美術館/美術館だより No.100
事業レポート茨城県近代美術館「ワカラナイノススメⅡ」展茨城県近代美術館第3回ミュージアムコンサート「朗読&コンサート~中村彝を見る、聴く、想う~」「ワカラナイノススメⅡ」展(11月1日~12月14日)会期中は、「ワカラナイ」をキーワードに会場内に様々な仕掛けを施して作品をご覧いただきました。その一つが、通常は作品横に設置している作家や題名を記した説明板(キャプション)に蓋をするというものです。情報がすぐには得られないことから、普段は素通りしがちな作品も時間をかけてじっくりと見ることが出来たという感想が多く寄せられました。制作者の意図を想像し、題名を推理するなどして楽しんでいただけたようです。ご家族やお友達とご来館された方は、それぞれの感想を語り合い、お互いの発想に共感、あるいは驚くなどしたことがアンケートからもうかがえました。また、会場には作品についての感想を付箋に記して貼り出す掲示板「みんなもひとこと」を設置したところ、計41点の作品について、約3600枚もの付箋が集まりました。「○○みたい」というような例えや、各自で考えたタイトルなど、抽象的な作品ほど多様な解釈がみられました。これらのほか、掲示板「みんなのQ&A」には作品についての質問と回答、様々な感想や意見が450件ほど寄せられ、活発な交流がなされていました。さらに三人の作家に対する質問を募集したところ38件の質問が寄せられましたが、各作家からは一つ一つの質問に丁寧な回答をいただき、会期後半に会場に掲出することができました。12月24日、「朗読&コンサート~中村彝を見る、聴く、想う~」を開催しました。この日は水戸市出身の洋画家で、わずか37歳でこの世を去った中村彝の命日であり、さらに昨年は没後90年という記念の年でもあったため、通常のミュージアムコンサートを拡大し1日がかりで彝を特集するイベントを行うことになりました。午前は第1部として「彝を偲ぶ」と題し、ソプラノ歌手の吉田真澄さんとピアニストの月岡優さんによるコンサートを行いました。彝が所有していたSPレコードの楽曲を交えながらクリスマス色の強い楽曲を中心に選曲し、クリスマス・コンサートとしても楽しめる内容となりました。午後は第2部として「朗読中村彝『藝術の無限感』より」を行いました。イーゼルと椅子が置かれただけの舞台にスポットライトが当てられる中、彝が残した芸術論『藝術の無限感』の一節が佐藤淑子さんによって朗読されると、会場はたちまち彝独特の世界観に引き込まれていきました。再び吉田さんと月岡さんに登場していただいた第3部のコンサート「彝が聴いた音楽を中心に」では、彝が所有していたレコードの中から、ショパンの「小犬のワルツ」や、ヴェルディの歌劇「椿姫」より“さようなら過ぎ去った日よ”などが演奏されました。彝は10代で結核を病んで以来アトリエで過ごす時間が長かったのですが、彝がアトリエで制作の合間に、あるいは病の床に伏しながら聴いていたであろう楽曲に身をゆだね、彝を身近に感じた方も多くいらっしゃったことと思います。終了後参加者からは「朗読、声楽ともにすばらしかった」、「彝さんもどこかで聴いて喜んでくれたことでしょう」などの感想をいただきました。中村彝という画家に一歩近づく機会としていただけたならば幸いです。会場風景あなたもひとことあなたもひとこと総集編みんなのQ&A第1部の様子第2部の様子5