ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
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茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
IP (mg/L)Ⅵ研究報告・調査報告1-11霞ケ浦西浦におけるリンの変動要因に関する調査1目的霞ヶ浦の水質は環境基準が達成できていないため,効果的な対策を実施する必要がある。しかし,湖水質は,気象条件や湖流,生態系,底泥の物理化学的組成など様々な影響を受けているため,事前に対策の効果を把握することが非常に困難である。そのため,それらの関係を組込んだ水質予測モデルを用いて,対策を実施した場合の水質改善効果をシミュレーションにより具体的に把握した上で,対策を実施することが望まれる。そこで本調査では,西浦における水質予測モデルを構築し,1)西浦と北浦における底泥からのリンの溶出速度の違い,2)底泥からのリンの溶出量を抑制させた場合の水質予測,3)流入負荷量を削減した場合の水質予測を検討した。2水質予測モデルの概要基本構造は北浦水質予測モデル1)と同様に,湖水の流動を再現する「流動モデル」と湖内栄養塩や生物・化学的な現象を再現する「生態系モデル」の2つにより構成される。なお,水平メッシュサイズについては,水平メッシュサイズと湖面積の比が概ね北浦と同じになるよう,450 mに設定した。3西浦における水質予測モデルによるシミュレーション結果(1)西浦と北浦における底泥からのリンの溶出速度の違い西浦の水質予測モデルを構築する際に,既存の北浦水質予測モデルで使用しているパラメータを用いて計算したところ,底層の無機態リン濃度の計算結果が観測値を大きく上回ることが確認された。そこで,PO 4 -Pの分子拡散係数以外の拡散係数を変更したところ観測値を再現できた(図1)。この結果から,西浦の溶出量は北浦に比べて25~50 %となっていると推定される。改良前改良後湖心観測値0.30.250.20.150.10.0502007/22007/42007/62007/82007/102007/122008/22008/42008/6図1 2007年度西浦湖心における湖水底層の無機態リン濃度(・・・:北浦におけるパラメータ用いた計算値,‐‐‐:改良したパラメータを用いた計算値,●:観測値)(2)底泥からのリンの溶出を抑制した場合の水質改善効果底泥からのリンの溶出は湖水底層DO濃度が低下すると起きるため,実際に底層DO濃度が低下する夏季において,DO濃度が低下しない条件でシミュレーションし,溶出が起きない場合の水質を予測した(図2)。その結果,底層DO濃度が低下しない場合には2007年4月から2012年3月までの5ヵ年平均値が0.06 mg/Lとなり,好気条件を維持しない場合の0.09 mg/Lに比べて大幅に低下した。茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 89