ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

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概要

茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

Ⅵ研究報告・調査報告また,河川別の10年間のBOD平均値は,これらの水域にあてはめられている環境基準(霞ヶ浦水域及び北浦水域並びに常陸利根川水域に当てはめられている水質類型はAで,BODに係る環境基準は2 mg/L)を超過している河川は,霞ヶ浦水域では清明川,園部川,花室川,山王川,境川,備前川,新利根川及び新川の計8河川,北浦水域では鉾田川と流川の計2河川,常陸利根川水域では前川の1河川の合計11河川であった。BODが高くなる一因として,河川に排出される有機性汚濁の増加が考えられるので,霞ヶ浦や北浦に流入する河川について,平成12年度と平成22年度の有機性汚濁の排出負荷量を比較した。比較に用いたデータは,霞ヶ浦湖沼水質保全計画策定時の河川流域の汚濁排出負荷量等のデータ6),7)で,その中では有機性汚濁をCODで評価している。対平成12年度比で排出負荷量が大きく増加している河川は,園部川の20.9%増,恋瀬川の18.6%増,梶無川の55.4%増で,いずれも畜産系の割合が増えていたが,BODの値は高くても園部川の2.1 mg/Lである。COD負荷量が増加しているにも関わらずBOD値の上昇が見られなかった理由としては,BODとCODはともに有機性汚濁の指標であるが,測定方法が異なり,検知される物質も異なること,汚濁物質の量そのものが少なく,希釈や生物による分解が速やかに行われた,などが考えられる。3.5環境基準達成の判別から見た河川の状況環境基準を超過した河川は年平均値の変動が大きく,図4と図5からは直近5年の変動は特に大きく見える。年平均値は大きな値が1つでもあるとその影響を受け,大きくなってしまうので,河川のBODに係る環境基準を達成しているかは,一連の測定値の75%測定値と比較する必要がある。つまり,12個の測定値を小さい順に並べた時の9番目の値と環境基準を比較し,大小を判別する簡便な方法である。この方法に対しては,確率的に求める方法が適切との考え方8)もあるが,年度途中でも環境基準を達成したか分かる利点もある。表2は,年平均値が環境基準を超過した11河川の75%値,つまり小さい方から順に測定値を並べた時に9番目に大きな値とその直前の8番目の測定値を示したものである。備前川,新利根川,新川,鉾田川,流川及び前川は,8番目の測定値でさえ5年間の測定で,一度も2 mg/Lを下回ったことがなく,高度に水質汚濁が進んでいる河川と考えられる。また,清明川や園部川等の河川では,8番目の測定値が2 mg/L以下で,9番目の数値が2 mg/Lを超過する年が見受けられることから,突発的な事象によるBOD値の上昇がなければ環境基準を満足できると考えられる。しかし,年を追うごとに測定値が上昇している傾向が見受けられるので,流域からの負荷削減策を強化する必要も認められる。河川名区分H20 H21 H22 H23 H24清明川園部川花室川山王川境川備前川新利根川新川鉾田川流川前川表2河川別75%測定値とその直前値a 2.3 2.8 2.3 2.6 3.0b 1.8 2.3 1.9 2.1 2.9a 2.0 2.1 1.5 2.4 2.3b 1.7 1.8 1.4 2.3 2.0a 1.9 2.0 1.7 2.7 3.3b 1.9 2.0 1.7 2.5 2.9a 1.9 2.1 1.7 2.8 2.2b 1.9 2.0 1.5 2.8 2.0a 2.6 3.3 2.1 2.7 2.9b 2.4 2.9 2.0 2.4 2.8a 3.2 3.3 3.5 3.8 3.6b 3.0 2.8 3.0 3.7 3.5a 3.4 3.7 4.0 4.4 4.6b 3.2 3.0 3.9 3.8 4.2a 3.8 3.2 3.4 4.9 4.3b 3.7 3.0 3.2 4.6 3.9a 3.7 3.0 2.7 4.0 3.7b 2.8 2.6 2.4 3.5 3.3a 2.3 3.2 3.4 5.1 3.6b 2.3 3.1 3.3 4.9 3.1a 3.5 4.3 4.2 4.1 5.0b 3.0 4.3 3.9 3.9 3.7※区分欄の記号は,12個の測定値を小さい方から順に並べ,aは下から9番目の値(75%測定値),bは8番目の値を示す。3.6月毎のBODの推移BODの年平均値の10年間平均が2 mg/Lを超過した11河川の直近5年のBODの推移(図6)をみると,不定期なスパイク状の高値が検出されている。BODが高値を示した箇所では,懸濁物質(SS)濃度が高値のこともあり,濁水が流れ込んだことが推察される。ただし,新利根川については,度々BODが高値を示しているが,SSの上昇は見られず,水溶性の汚濁が負荷されたものと茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 81