ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
- ページ
- 85/196
このページは 茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度) の電子ブックに掲載されている85ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度) の電子ブックに掲載されている85ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
Ⅵ研究報告・調査報告平成16年度以降の年間降水量は,平成17年度に1100mmを下回ったものの,極端に降水量が減少し河川の水質に影響を与えるような年は見られなかった。これより先の解析は,汚水処理普及率が上昇しているにも関わらず河川のBOD環境基準の達成率は上昇していない平成15年度以降のデータを主に対象とする。3.2水系別にみたBOD環境基準達成率について環境基準が設定されている88の水域は,多賀水系(14水域),新川水系(1水域),久慈水系(9水域),那珂川水系(15水域)及び利根川水系(49水域)に区分され,更に利根川水系は利根川水域(12水域),鬼怒川水域(3水域),小貝川水域(10水域),霞ヶ浦水域(14水域),北浦水域(8水域)及び常陸利根川水域(2水域)に細分される。カッコの中の“水域”は“河川”と同義である。図2に水域別のBOD環境基準達成率の推移を示す。全水域の10年間の平均のBOD達成率は76.6%で,水系別のBOD達成率の平均をみると,新川水系と久慈水系は100%で,多賀水系と鬼怒川水域は96%超で,那珂川水系と利根川水域及び小貝川水域は約80%で全水域の平均よりも高いが,霞ヶ浦水域は40%,常陸利根川水域は30%,北浦水域は直近5年の低下が著しく約60%と,全水域の平均を下回っている。霞ヶ浦水域及び北浦水域並びに常陸利根川水域の計24水域は全体の約27%にあたり,全体のBOD達成率に大きく影響するとともに,流出先が霞ヶ浦(西浦,北浦,常陸利根川)であるため,これらの河川の水質改善は霞ヶ浦の水質改善にも寄与すると考えられる。3.3霞ヶ浦水域及び北浦水域並びに常陸利根川水域の河川の水質この水域の24河川の主な水質項目(BOD,COD,全窒素(T-N)及び全りん(T-P))の平成15年度から24年度の年平均値の平均値を表1に示す。有機性汚濁の指標と考えられるBODとCODを見ると,BODは1.0~3.9 mg/Lの範囲に,CODは3.9~8.5 mg/Lの範囲にあり,BODとCODには相関が認められる(図3)。このことは,窒素の硝化反応に伴う酸素消費の影響が少ないことや微生物の活性を阻害するような有害物質が含まれている可能性が小さいことを示していると考えられる。図3 BODとCODの相関(10年間の平均)●:霞ヶ浦水域の河川,▲:北浦水域の河川■:常陸利根川水域の河川図2水域別のBOD環境基準達成率の推移次に全窒素は,鉾田川のみ健康の保護に関する環境基準の10 mg/L(硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の合計)を超過している可能性を示す値であるが,他の河川は,1.0~6.4 mg/Lの範囲であった。環境基準の半分の濃度である5 mg/Lを超過している河川は,園部川,梶無川,鉾田川,巴川,山田川,武田川,蔵川及び大洋川の8河川で,北浦水域の河川が多かった。データの無い大洋川を除茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 79