ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
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茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
Ⅵ研究報告・調査報告1-8茨城県内の河川における有機性汚濁の動向について菅谷和寿Recent Trend of Organic Pollution in the River of the Ibaraki PrefectureKazuhisa SUGAYAキーワード:河川水質,環境基準,BOD,有機性汚濁1はじめに我々の身近に存在する河川や湖沼などの公共用水域には環境基本法に基づき生活環境の保全上望ましい基準として水質に係る環境基準が設定され,定期的な水質の監視が行われている。水質の指標の一つである有機性汚濁については,河川は生物化学的酸素要求量(BOD)で,湖沼は化学的酸素要求量(COD)で表され,年間の平均的な水質とともに環境基準の達成状況が公表1),2)されている。有機性汚濁に係る環境基準の達成の判別は,複数回測定した値を小さい方から順に並べ,測定回数の75%の位置の数値を環境基準と比較し,下回れば達成,上回れば未達成と判別3)される。茨城県の陸域においては,河川の88水域と3湖沼の5水域を対象に水質の監視が行われており,直近10年間のCOD又はBODに係る環境基準の達成状況2)をみると,湖沼については環境基準を達成した水域は皆無で,河川については約80%前後で推移している。河川は,有機性汚濁や藻類の増殖に必要な栄養成分を湖沼に供給するので,河川の水質を改善することは,湖沼の水質を改善することにもつながる。そこで,本論文では河川の有機性汚濁に着目し,環境基準達成率が停滞している要因を明らかにし,有機性汚濁対策に資することを目的に解析を行った。3結果と考察3.1河川のBOD環境基準達成率の推移河川の水質に係る環境基準については,河川の利用目的に応じ類型が指定され,類型ごとに異なる基準値が定められている。茨城県内の河川については,AA~D類型(BODの基準値として1~8 mg/L)があてはめられているが,本論文では,水域にあてはめられた類型を達成しているかどうかのみを取り扱うこととする。昭和51年度から平成24年度の間の茨城県内の河川のBODに係る環境基準の達成率と汚水処理率4)及び降水量5)の推移を図1に示す。BOD環境基準達成率は平成6年度前後の渇水による低下部分を除くと,下水道の普及とともに右肩上がりに上昇してきたが,平成16年度以降は80%前後で上下を繰り返し,頭打ちの状態となっている。平成16年度以降も,下水道普及率やその他の処理法(下水道,農業集落排水処理及び高度合併処理浄化槽)を含めた汚水処理普及率は上昇しており平成23年度末では,下水道普及率は約60%,農業集落排水処理等を含めた汚水処理普及率は約80%となっている。2方法2.1解析に使用したデータ及び解析方法本論文においては,国,茨城県及び市が毎月1回,実施している公共用水域の水質測定結果1),2)を用いた。また,各種の解析にはマイクロソフト社のエクセル2010を用いた。図1河川のBOD環境基準達成率の推移●:BOD達成率,■:下水道普及率▲:汚水処理普及率,破線:水戸の年間降水量78茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013