ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

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概要

茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

脱窒活性(Nmg・m -2 ・d -1)土壌炭素含有率(%)Ⅵ研究報告・調査報告た,上田ら5)は砂質土地点では脱窒活性が低いことを報告している。このことから,NO3-N濃度が高濃度であった地点A,B,Cのうち土壌が砂質土である地点Bを除く地点A,Cで脱窒活性が高いことが予測できる。3.2土壌炭素含有率の変動図3に土壌炭素含有率の変動を示す。土壌炭素含有率は地点Dと流量増加前の地点Eで7.2%以上と高かった。この2地点では採土した土に大量の葉がすき込まれており,微生物による分解によって土壌炭素率が増加したことがこの要因であると考えられる。また,砂質土である地点Bと流量増加後の地点Eでは土壌炭素含有率は低く,3.4%以下であった。このことから,脱窒の水素供与体である有機物量は砂質土壌ではほとんど認められないことがわかった。図3土壌炭素含有率の変動3.3脱窒活性の変動図4に脱窒活性の変動を示す。脱窒活性は3.1により,地点AとCで高いと予想を立てたが,実際には脱窒活性がコンスタントに高いのは地点Aのみであった。地点Cの脱窒活性が低かった要因として,滞留開始前は水の流れが速く,土壌が酸化的であったことが考えられる。また,砂質土壌である地点Bと流量増加後の地点Eでは脱窒活性はほとんど認められなかった。これは土壌炭素含有率が低いことが要因であると考えられる。脱窒活性が300 mgN・m -2 ・d -1を超えたのは地点Aと地点Cのみであり,さらに本調査での脱窒活性の最高値は地点Cで認められた。このことから直上水のNO3-N濃度が高い地点では,抑制要因を除いた場合には高い脱窒活性が見込めるポテンシャルを持っていることが可能性として示唆された。地点D,Eは土壌直上水のNO3-N濃度が低濃度であったにもかかわらず,脱窒活性が比較的高いように思える。これは地点D,Eの土壌炭素含有率が他の地点と比べ比較的高いことから,有機物量に影響を受けたと考えられる。図4脱窒活性の変動3.4環境要因の検討本研究では各地点の脱窒活性と環境要因との関連を検討するため,水質・土壌分析から得た環境要因データとの単相関係数を求め,表2にその値を示す。また,地点Cと地点Eは湛水条件を変えたため,表3に変更前と変更後の単相関係数を示す。単相関の傾向は地点によって異なる傾向を示しており,全地点で共通して高い相関が認められた項目はなかった。しかし,似た条件の地点では同様の傾向が認められたため,以下にその結果を示す。3.4.1窒素成分土壌直上水のNO3-N濃度は直接脱窒反応に関わるため相関が高いと考えられるが,土壌直上水茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 75