ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
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茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
NO3-N濃度(mg・L -1 )Ⅵ研究報告・調査報告へと変化が認められた。土壌は各地点表層0~2cm層を採土した。測定項目は,土壌直上水と土壌間隙水の各態窒素濃度とTOC濃度,土壌炭素含有率,土壌窒素含有率を測定した。調査は平成25年5月1日から12月26日まで,2,3週に一度,計14回調査を行った。2.2水質分析水質分析は土壌直上水と土壌間隙水を対象とした。水試料は各態窒素濃度イオンクロマトグラフ(DIONEX DX-2000),TOC濃度は全自動炭素測定装置(平沼産業株式会社製TOC-2000)を用いて分析した。土壌間隙水は,土壌を小形冷却遠心機(日立工機株式会社製himac CF7D2)を用いて遠心分離を行い,上澄み液を採取した。2.3土壌分析土壌分析は土壌炭素含有率と土壌窒素含有率を分析項目とした。土壌炭素含有率と土壌窒素含有率は全炭素・窒素同時分析装置(株式会社ジェイ・サイエンス・ラボJMA3000)を用いて分析した。また,分析は風乾した土壌を測定した。2.4脱窒活性試験脱窒活性はアセチレン阻害法1)で分析した。まず,採取したコアサンプルを100 mL広口ガラス瓶に湿潤の表層底泥3 gを入れ,NaNO 3水溶液(NO 3 -N濃度で1 mgN/L)20 mLを加え,ガラス管(ガスクロ用シリコンセプタム付き)の付いたブチルゴム栓で密栓した。瓶内を窒素で置換し,シリンジでアセチレン飽和水2 mLを添加した。そして,30分間30℃,暗条件で振とう培養し,5分,15分,30分において真空採血管5 mL(TERUMO,ベノジェクトⅡ)を用いて気相の一部を捕集した。捕集したガスはECDガスクロマトグラフ(島津製作所,GC-2014)で亜酸化窒素量(N 2 O量)を測定した。ECDガスクロマトグラフはポラパックQ&N(80-100メッシュ)を充てんしたステンレスカラム(3mm×4m)で,メタン・アルゴン混合ガスをキャリアガスとし,カラム温度60℃および検出器温度340℃で測定した。液相のN 2 O濃度はN 2 Oの溶解度係数2)を用いて算出し,培養瓶内のN 2 O全量を求めた。N 2 O量の時間による増加量から,測定に供した底泥の単位時間単位重量あたりのN 2 O発生速度を求めた。さらに底泥3)の見かけの比重を算出して単位体積あたりのN 2 O発生速度に換算した。底泥は表層を試料としたことから,単位面積あたり(表層1 cmとして換算)のN 2 O-N発生速度に換算し脱窒活性とした。脱窒活性試験に供するサンプルは4℃以下で保存し,1週間以内に行った。脱窒に影響を及ぼす水温や硝酸濃度の依存性を検討するために次の条件で培養を行った。温度依存性を検討する場合は1 mgN/LのNaNO3溶液を20 mL添加した底泥試料を5,10,15,20,25,30,35および40℃,嫌気・暗条件で培養した。硝酸濃度依存性を検討する場合は0.5,1.0,2.0,4.0,6.0および10 mgN/LのNaNO3溶液を20 mL添加した底泥試料を30℃,嫌気・暗条件で培養した。3結果と考察3.1 NO 3 -N濃度の変動(土壌直上水)図2に土壌直上水のNO3-N濃度の変動を示す。土壌直上水のNO3-N濃度は面源に近い地点A,B,Cで6.0 mgN/L以上と高く,面源から遠い地点D,Eで3.0 mgN/L以下と低かった。NO3-Nは脱窒反応において水素受容体の役割を持っており,田渕ら4)の研究では,NO3-N濃度と脱窒活性に高い相関関係があることが明らかにされている。ま図2 NO3-N濃度の変動74茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013