ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
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茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
脱窒活性(mgN/(m 2・d))脱窒活性(mgN/(m 2・d))Ⅵ研究報告・調査報告とエタノール)を添加した結果についてFig. 5に350300250200150100500pH 7.4 7.4 7.4 7.6 3.4 6.9 3.8 6.8 7.9 10.1示した。最も大きかったのは乳酸で335 mgN/(m 2 ・d)であった。次いで,エタノールは293 mgN/(m 2 ・d)であった。最も小さかったのは蟻酸で44mgN/(m 2 ・d)であった。有機酸の中でも乳酸で脱窒活性が大きく,蟻酸や酢酸等で小さかったが,その理由は分からなかった。Fig. 4アミノ酸の添加による脱窒活性の変化てFig.4に示した。L-アスパラギン酸が254mgN/(m 2 ・d)ともっと大きくなり,次いでDL-ロイシンが230 mgN/(m 2 ・d)であった。最も小さかったのはL(+)-アルギニンで39 mgN/(m 2 ・d)であった。L(+)-アルギニンは極端に小さかったが,これは試験液のpHが10.1と他の試験液と比較し,大きくアルカリ性に傾いていた。脱窒過程においてアルカリが遊離されるため,pHがアルカリ性に傾くことが知られているが,pHが高すぎて阻害が生じた可能性が考えられた。L-アスパラギン酸やL-グルタミン酸はpHが3~4と低いが,pHが低い場合には脱窒活性は低下しなかった。分子量の違いによる脱窒活性の違いもみられなかった。3.5有機酸とアルコールの添加による脱窒活性の変化105.09 174.20分子量有機物として有機酸とアルコール(メタノール4まとめ武田川のウェットランド内外の底泥の脱窒活性の調査を行い,さらに有機物の濃度及び組成の違いよる脱窒活性の変化を検討し,以下のような知見が得られた。・ウェットランド内の底泥の方が外よりも脱窒活性が高く,ウェットランドは懸濁物質の沈降の他に,脱窒の場としても有用であることが示唆された。・ウェットランド内の底泥を定期的に浚渫しないと大雨による河川の増水により,底泥が湖内に流出してしまう懸念があることが考えられた。・グルコース濃度変化に伴い,脱窒活性が増加したが,10 mgC/L以上では大きく増加しなくなった。・0.5~1,000 mgC/Lの間の濃度変化では有機物による脱窒の阻害はみられなかった。・試験液のpHが高いときには脱窒活性が小さくなったが,分子量の違いや構造による規則的な変化はみられなかった。400350300250200150100500pH2.9 3.7 2.5 3.3 3.0 4.3 3.1 7.6 7.6武田川河口のウェットランドの底泥において脱窒活性が大きいことが明らかとなったが,脱窒菌に関する調査等,脱窒活性が大きい要因について詳細に検討する必要がある。また,有機物の組成による脱窒活性の変動については,過去の霞ヶ浦の脱窒調査で腐食した葉や茎等が混ざった土壌で脱窒活性が大きかったことから1),腐植性の46.03 210.14分子量Fig. 5有機酸及びアルコールの添加による脱窒活性の変化32.04 46.07有機物に関しても検討する必要がある。また,脱窒菌の種類により有用な有機物が異なる可能性も考えられるため,菌種に応じた影響を調査する必要がある。茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 71