ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

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概要

茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

Ⅵ研究報告・調査報告2.2分析方法水試料は,ろ液のNO 3 -N濃度をオートアナライザー(BRAN+LUEBBE,AACS-Ⅱ)によって分析した。底泥試料について,含泥率は粒度分析装置(島津製作所,SALD-2200)で粒度組成を分析し,土木学会に準じて6)粒径が75μm未満(シルト+粘土)の粒子の割合とした。T-Cは元素分析計(Eurovector,EuroEA)によって分析した。脱窒活性はアセチレン阻害法7)で分析した。まず,採取したコアサンプルはコアカッターによって表層2 cmカットした。次に,100 mL広口ガラス瓶に湿潤の表層底泥3gを入れ,NaNO 3水溶液(NO 3 -N:1 mg/L)20 mLを加え,ガラス管(ガスクロ用シリコンセプタム付き)の付いたブチルゴム栓で密栓した。瓶内を窒素で置換し,シリンジでアセチレン飽和水2 mLを添加した。そして,30分間30℃,暗条件で振とう培養し,5分,15分,30分において真空採血管5 mL(TERUMO,ベノジェクトⅡ)を用いて気相の一部を捕集した。捕集したガスはECDガスクロマトグラフ(島津製作所,GC-2014)で亜酸化窒素量(N 2 O量)を測定した。ECDガスクロマトグラフはポラパックQ&N(80-100メッシュ)を充てんしたステンレスカラム(3 mm×4m)で,メタン・アルゴン混合ガスをキャリアガスとし,カラム温度60℃および検出器温度340℃で測定した。液相のN 2 O濃度はN 2 Oの溶解度係数8)を用いて算出し,培養瓶内のN 2 O全量を求めた。N 2 O量の時間による増加量から,測定に供した底泥の単位時間単位重量あたりのN 2 O発生速度を求めた。さらに底泥の見かけの9)比重を算出して単位体積あたりのN 2 O発生速度に換算した。底泥は表層を試料としたことから,単位面積あたり(表層1 cmとして換算)のN 2 O-N発生速度に換算し脱窒活性とした。脱窒活性試験に供するサンプルは4℃以下で保存し,1週間以内に行った。2.3有機物の依存性試験平成26年1月にSt. 2の表層2 cmの底泥試料を用いて,脱窒に及ぼす有機物の影響を検討するために有機物の濃度や組成を変えて行った。ただし,使用する底泥試料量や脱窒活性の分析工程および算出方法については前述した脱窒活性の分析方法と同様である。有機物の濃度変化による脱窒活性の検討はグルコースで,0.5,1.0,2.0,5.0,10,50,100,1000 mgC/Lに調整した。有機物の組成の検討については,濃度を100 mgC/Lで統一し,有機物は糖類12種類(D-アラビノース,D-リボース,D(+)-フコース,D-マンニトール,D(+)-キシロース,D(+)-グルコース,D(+)-ガラクトース,D(+)-マンノース,D-フルクトース,α-L(+)-ラムノース一水和物,D(+)-グルコサミン塩酸塩,D(+)-ガラクトサミン塩酸塩),アミノ酸10種類(L-セリン,DL-ロイシン,L(+)-イソロイシン,L-アスパラギン酸,L(+)-グルタミン,L-グルタミン酸,L-アスパラギン一水和物,L(+)-アルギニン,L-プロリン,L-ヒスチジン),有機酸7種類(蟻酸,酢酸,しゅう酸,乳酸,酒石酸,フタル酸水素カリウム,クエン酸一水和物),アルコール2種類(メタノール,エタノール)を用いた。有機物の種類が多いため,分析に2週間要した。3結果及び考察3.1ウェットランド内外の脱窒活性の変化9月と11月のウェットランド内外の調査結果についてTable 1に示した。9月はSt. 1とSt. 2で底泥の粒度組成はシルトの割合が55~77%で,T-Cは53~61 mg/g-dryであった。脱窒活性はSt. 1の方が高く,ウェットランド内で脱窒活性が高かった。しかし,11月は底泥の粒度組成がSt. 1でほぼ砂質に変わり,それに伴いT-Cや脱窒活性が大幅に低下した。しかし,St. 2では9月の結果と大きな違いはみられなかった。2か月足らずの間にSt. 1の底泥が大きく変化したが,これは10月に台風により多い日で1日に239 mmの降水量を観測(アメダス,鉾田)するほどの大雨が原因であると考えられる。9月はウェットランド内に河川から運ばれた脱窒活性の大きい懸濁物質が沈茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 69