ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
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茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
Ⅵ研究報告・調査報告4まとめ本研究において鉾田川流域の河川,土壌,地下水の水質の分布状況を把握した。その結果,以下のような知見が得られた。・鉾田川のすべての支流から高濃度の窒素が流入しており,ほとんどがNO 3 -Nであった。・市街地は土壌のNH 4 -N濃度が高く,地下水は鉾田川に流出せず,その場にとどまっている可能性が考えられた。・畑地は土壌及び間隙水ともにNO 3 -N濃度が高いことから,かつて施肥によって投入された窒素が土壌中に溶脱していること考えられた。・荒地は土壌本体には窒素濃度は低かったが,間隙水中に高濃度のNO 3 -Nが分布していたことから,高濃度の窒素を含んだ地下水が荒地に流入している可能性や,過去に畑地で施肥された窒素がプールを撤去したために浸透が始まった可能性等が考えられた。・森林は土壌本体及び間隙水ともに窒素濃度が低いことから,地下水の窒素濃度が低いか,森林に吸収されて低いことが考えられた。・地下水では,井戸の深さが10 m程度であれば土壌間隙水と同程度の窒素濃度が確認されたが,数mの浅い井戸では降雨による希釈の影響を受けることが考えられた。・台地からの浸出水では,比較的高い濃度で窒素が流出しているものの,河川の窒素濃度の方が高いことから,浸出している場所によって濃度に差があることが考えられた。鉾田川流域土壌は土地利用によって窒素の分布が異なることが明らかとなった。台地における窒素の分布として,畑地では土壌本体や間隙水に窒素が分布しているが,その他の土地利用では間隙水に窒素が分布する傾向にある。このことから,畑地に投入された窒素が溶脱等により縦に浸透し,それが地下水によって横に浸透し運ばれることによって河川の窒素濃度を高くしていることが考えられた。今後は現役の畑地について窒素の分布状況を把握し,土壌中の窒素の鉛直方向の動きについて検討する必要がある。また,鉾田川流域ではハウス栽培も多いことから露地栽培とハウス栽培の窒素分布の違いについて検討し,流域の窒素の動態について検討する必要がある。5参考文献1)北村立実,吉尾卓宏(2012),鉾田川の窒素負荷の分布及び流出負荷量の特徴について,茨城県環境科学センター年報,8,pp60-65.2)北村立実,花町優次,大内孝雄(2011),降雨時における鉾田川の水質・負荷量の特徴について,茨城県環境科学センター年報,7,pp62-68.3)熊本都市域における地下水中硝酸性窒素濃度の現状と地理情報システムおよび窒素安定同位体分析による窒素負荷要因の解明(2011),水環境学会誌,34,1,pp1-9.4)中西康博,高平兼司,下地邦輝(2001),地下水窒素汚染における起源別窒素負荷率の重回帰法による推定,日本土壌肥料学雑誌,72,3,pp365-371.5)大津善雄,藤山正史,永田浩久,川口貴之,廣川順太(2010),家畜ふん堆肥を連続施用した飼料畑における土壌溶液中の硝酸態窒素の推移,長崎県農林技術開発センター研究報告,1,pp55-66.6)野木照修,柳沼泰衛(1987),施肥窒素の桑園土壌中での挙動と桑による吸収利用,日本蚕糸学雑誌,56,1,pp45-51.7)三浦憲蔵(2011),アロフェン黒ボク土野菜畑にpける硝酸態窒素の垂直分布と窒素収支の関係,日本土壌肥料学雑誌,82,3,pp200-206.8)木方展治,結田康一(1991),茶園及び隣接林地の土壌水中硝酸態窒素の垂直分布,日本土壌肥料学雑誌,62,2,pp156-164.茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 67