ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
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茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
Ⅵ研究報告・調査報告や葉物等を栽培していた。B3の荒地は,35年前は畑地であった可能性が高く,約10年前は市営プールであった。土壌採取はボーリングマシンによって直径0.1 m,深さ10 mを堀り,土性の変化に応じて層別に採取した。地下水調査は平成26年2月にI1~3の3地点で台地に位置する住宅にある井戸水を蛇口から採取した。I1とI2は畑地の中に立地し,I3は住宅集落の中に立地している。台地からの浸出水の調査は平成26年2月に行いS1,S2の2地点で,台地から浸み出している部分に小さな堰を作り,水をためてから採取した。浸出水が流出している台地には畑地が広く分布していた。2.2分析方法土壌本体の分析項目はT-N,NO 3 -N,アンモニア態窒素(NH 4 -N)とした。T-Nは105℃で乾燥した土壌をメノウ乳鉢で破砕した後,元素分析計(Eurovector,EuroEA3000)で分析した。NO 3 -Nは風乾土壌を10 g採取し,200 mL三角フラスコに入れ,(1mol/L)KCl溶液50 mLを添加した。その後,振とう機で30分撹拌させ,上澄水をろ紙でろ過し,ろ液を銅・カドミウム還元-ナフチルエチレンジアミン吸光光度法に基づいて分析した。NH 4 -Nは風乾土壌を10g採取し,200 mL三角フラスコに入れ,(1 mol/L)KCl溶液50 mLを添加した。その後,振とう機で30分撹拌させ,上澄水をろ紙でろ過し,ろ液をガス拡散/フローインジェクション吸光光度法に基づいて分析した。河川水,土壌の間隙水,地下水,台地からの浸出水の分析項目はT-N,NO 3 -N,NO 2 -N,NH 4 -Nとした。土壌の間隙水は湿潤土壌を10,000 rpmで遠心分離し間隙水を採取した。遠心分離で採取できなかった場合は遠沈管に土壌10 gを入れ,そこに蒸留水を10 mL添加し,約5秒間振り混ぜてから3,000 rpmで遠心分離した後,液相を採取することで間隙水とした。この水を分析した場合は添加した水の希釈率を換算した。前処理として,採取した河川水,土壌間隙水,地下水,台地からの浸出水は1μmのろ紙(Whatman,GF/B)でろ過し,分析に供した。T-Nはオートアナライザー(BRAN+LUEBBE,AutoAnalyzer3)で分析し,NO3-N,NO2-N,NH4-Nはオートアナライザー(BRAN+LUEBBE,AACS-Ⅱ)で分析した。3結果と考察3.1鉾田川流域の窒素分布Table 1に鉾田川支流の窒素濃度について年平均値を示した。すべての地点でT-N濃度で5mgN/Lを超え,H2,H5,H6では10 mgN/Lを超えた。全体的に高濃度の窒素が鉾田川本流に流れ込んでいた。窒素成分としてはNO 3 -N濃度がほとんどを占めた。H6ではNO 2 -N濃度やNH 4 -N濃度も高く,他の支流と違う傾向を示した。これらの窒素濃度は平成24年度に行った河川調査と同程度であり1),定常的に高濃度の窒素が流入していると考えられた。3.2土壌の窒素分布Fig. 2にB1~B2の4か所の土壌鉛直方向の窒素濃度の分布を示した。B1の市街地の土壌は220cmの深さに厚さ50 cmのコンクリートが確認され,270 cmまでは客土であると考えられた。それより深い層ではシルト質が続き黒い色をしていた。また,深さ461 cmでは地下水が確認された。土壌のT-N濃度はシルト質の層で高く,540 cmの深さで15.8 gN/kg-dryと最も高くなり,NH 4 -N濃度が321 mgN/kg-dryと最も高かった。NO 3 -N濃度は1.0mgN/kg-dry以下とほとんど検出されなかった。土壌間隙水もNH 4 -N濃度が高かった。B1の調査地点のすぐ近くを鉾田川が流れているが,河川の水Table 1鉾田川支流における年平均窒素濃度T-NNO 3 -NNO 2 -NNH 4 -NAve.S.D.Ave.S.D.Ave.S.D.Ave.S.D.mg/Lmg/Lmg/Lmg/Lmg/Lmg/Lmg/Lmg/LH18.52.07.71.80.050.030.200.37H210.91.310.21.30.020.010.030.01H36.12.75.62.80.020.010.060.03H48.62.77.92.60.040.020.040.01H512.92.512.22.50.040.010.080.05H611.54.78.63.70.870.831.31.3n=12n=12n=12n=12n=12n=12n=12n=1264茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013