ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

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概要

茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

PO4-P (mg/L)フィコシアニン濃度(?g/L)DIN (mg/L)フィコシアニン濃度(?g/L)Ⅵ研究報告・調査報告期は降水量が少ないため,降雨以外の要因が考えられる。一方,8月下旬の濃度低下に関してはまとまった降雨が観測されているため,降雨によってアオコが抑制された可能性がある。3.3水質(栄養塩)の状況土浦港のフィコシアニン濃度と土浦港及び吹き寄せ元と考えられる土浦沖の溶存無機窒素濃度(DIN)の関係をFig. 8に示す。藍藻類が優占するのに適したDINの濃度は0.1 mg/L以上である8)が,アオコが発生していない6月には両地点とも藍藻類が増殖するのに十分なDINであった。土浦港のフィコシアニン濃度が上昇した7月中旬には,土浦沖でDINが枯渇した状態になり,土浦港でも濃度が低下(約0.1mg/L)した。そして,その後にフィコシアニン濃度が低下した。このことから,7月下旬の21600フィコシアニン(土浦港)土浦港1.5土浦沖120018000.5400006月1日7月1日8月1日8月31日Fig. 8土浦沖,土浦港の溶存無機窒素濃度(DIN)と土浦港のフィコシアニン濃度0.041600フィコシアニン(土浦港)0.03土浦港1200土浦沖0.028000.01400006月1日7月1日8月1日8月31日Fig. 9土浦沖,土浦港のPO 4 -Pと土浦港のフィコシアニン濃度濃度低下は直前の栄養塩窒素の枯渇がアオコの発生を抑制した可能性がある。なお,アオコの原因となるMicrocystisはDINが枯渇しているときでも数回分裂することができ,例えばM. aeruginosaは2.2回(日数にして約6日間)分裂することができる9)。そのため,今回の調査ではDINの枯渇からフィコシアニン濃度の低下まで時間のずれがあったと考えられる。また,8月下旬のフィコシアニン濃度の低下に関しては,土浦港のほか土浦沖でも植物プランクトンの増殖に十分なDINであったため,窒素以外の要因が考えられる。一方,リンに関しては,8月中旬までリン酸は低濃度で推移していたものの,枯渇はしておらず,また,フィコシアニンの増加に連動するような減少はみられなかった(Fig. 9)。3.4重回帰分析による予測式これまでの結果より,フィコシアニン濃度との相関がみられた気象条件等の要素について,重回帰分析を行った。回帰式として,フィコシアニン濃度を求める式を,測定1週間前の平均水温,最多風向が南~東方向の日数,降水量,前回調査でのDIN,PO 4 -Pの濃度の一次多項式として求めた。その結果,Table 1のような偏回帰係数が求められた。これより,変数が増加するとフィコシアニン濃度が増加すると考えられる「水温」「風向」に関しては,偏回帰係数が正の値,変数が増加すると減少すると考えられる「降水量」に関しては偏回帰係数が負の値となり,それら3つの要素については妥当な結果が得られた。しかし,正の相関があると考えられる「DIN」「PO 4 -P」は負の値であった。これは,栄養塩については枯渇しないとアオコの増減要因になりにくいことで,増殖するアオコ(植物プランクトン)に栄養塩が取り込まれた結果が反映されたと推測される。このため,「DIN」と「PO 4 -P」を除いて,再度解析をすると,Table 2のような結果が得られた。茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 61