ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
- ページ
- 60/196
このページは 茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度) の電子ブックに掲載されている60ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度) の電子ブックに掲載されている60ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)
Ⅵ研究報告・調査報告D.galeataの急増などの出現量の変動には,イサザアミ等の捕食者が影響を及ぼしていた可能性があるが,本調査では因果関係を明らかにすることは出来なかった。5まとめ本研究において,2013年の初春~初夏にかけて,沖宿沖において動植物プランクトンの出現動向をおよそ1週間に1回の間隔で調査して,その変動の要因やプランクトン間の関係について検討した。その結果,以下のような知見が得られた。・栄養塩は溶存態無機窒素及び溶存態ケイ素が5月末~6月初旬以降,枯渇気味もしくは低めで推移することが多かった。・植物プランクトンの細胞体積は珪藻類の占める割合が調査期間を通して大きかった。5月前半の植物プランクトンが最も減少した期間にはStephanodiscus sp.が大きく減少した。増加した6月中旬~7月初旬にはStephanodiscus sp.が再び増加すると共にTalassiosira sp.やCyclotellameneghinianaが急増した。・動物プランクトンの出現状況は5つの特徴的な期間に分類できた。輪虫類等の小型種からDaphnia galeata等の大型種への変遷,Bosmina sp.の急増期間の出現,動物プランクトンの全体の低水準期間の出現などが特徴的であった。・動物プランクトンの乾燥重量を推定した結果,調査期間を通して輪虫類の占める割合は69%で最も大きかったと試算された。ただし,5/15は枝角類のBosmina sp.が64%を占めて最大となったと試算された。・本調査期間中において,湖水1L中に存在した枝角類(Bosmina sp.)が1日にろ過した量は,最大で0.75L・day -1であったと見積もられた。・調査期間中のクロロフィルa濃度は,1回目の低下期間と,2回目の急上昇と,それに続く急低下期間が特徴的な変化であった。1回目はBosminasp.の急増による捕食圧の増大の影響,2回目の急上昇は動物プランクトンの捕食圧の低下や栄養塩の供給,急低下は気象の急激な変化の影響が示唆された。・Bosmina sp.の急増は,小型の珪藻類のStephanodiscus sp.の生物量を減少させた可能性が示唆された。一方で,群体を形成する種や,寒天質で覆われた種は減少しなかった。・霞ヶ浦の水質に最も大きな影響を与えると考えられているDaphnia galeataの変動要因を明らかにするために,本種の捕食者の調査も併せて実施する必要がある。6参考文献1)Lampert, W., W. Fleckner, H. Rai and B. E.Taylor(1986):Phytoplankton control by grazingzooplankton: A study on the spring clear water phase.Limnol. Oceanogr., 31,478-490.2)Takayuki Hanazato and MorihiroAizaki(1991):Changes in species composition ofcladoceran community in lake kasumigaura during1986-1989:Community of Daphnia galeata and itseffect on algal biomass. Jpn. J. Limnol.,52, 1, 45-55.3)岩崎順(1996):1995年春季北浦の「水変わり」現象について.茨城内水試研報31,61-65.4)茨城新聞(平成23年7月13日発行),湖水の透明度上昇霞ヶ浦,23年ぶり1メートル超5)河川水質試験方法(案)(1997年版)pp922-923.6)Wilhelm foissner and helmut berger(1996):Auser-friendly guide to the ciliates(Protozoa,Ciliophora) commonly used byhydrobiologists as bioindicators in rivers,lakes,andwaste waters,with notes on their ecology., FreshwaterBiology, 35, 375-482.7)Jotaro Urabe(1992):Midsummer succession ofrotifer plankton in a shallow eutrophic pond. Journalof Plankton Research., 14, 851-866.8)Bottrell,H.H.,A.,Gliwicz,Z.M.,Grygierek,E.,Herzig,A.,Hillbricht-Ilkowska,A.,Kurasawa,H.,Larsson,P.andWeglenska,T. (1976): A review of some problems inzooplankton production studies. Norwegian Journal of54茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013