ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

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概要

茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

Ⅵ研究報告・調査報告1-3 2013年春~夏の沖宿沖における動植物プランクトンの動態小日向寿夫,大内孝雄,北村立実,花町優次,神谷航一,吉尾卓宏Dynamics of Zooplankton and Phytoplankton at off Okijuku from spring to summer in 2013Hisao KOBINATA,Takao Ouchi Tatumi KITAMURA,Yuji HANAMACHI,Koichi KAMIYA,Takuhiro YOSHIOキーワード:霞ヶ浦,動物プランクトン,植物プランクトン,変動要因1はじめに動物プランクトンは,植物プランクトンなどを捕食して湖内の有機物量に影響を与えている。それが極端に現れる現象は「春の透明期」として知られており,春季にDaphnia属(枝角類)の動物プランクトンの急増に伴い,植物プランクトンが急減して,透明度が上昇する1)。霞ヶ浦の西浦では1986年~1987年の冬に初めてDaphnia属のカブトミジンコ(Daphnia galeata)が出現して,同時にクロロフィルa濃度が急減したことが報告されている2)。また,北浦では1995年の春季の透明度の急上昇がみられたが,これもD.galeataとの関係が示唆されている3)。近年では西浦で2011年6月~7月にゾウミジンコ(Bosmina longirostris)の著しい増加と,その後のD.galeataの増加がみられ,同時に透明度が急上昇したことがメディアによって報道された4)。このように,動物プランクトンは水質に大きな影響を与えており,その動態を正確に把握することは,水質の変動要因を明らかにする上で重要であると考えられる。しかしながら,近年の霞ヶ浦における動物プランクトンの動態や,植物プランクトンとの関係について,詳細に調査研究した例はない。そこで,本研究では動植物プランクトンが増加する初春~初夏にかけて,出現動向を短間隔で調査して,変動の要因やプランクトン間の関係について明らかにしたので報告する。2調査方法2.1現場測定及び採水2013年3月28日~7月24日の期間に延べ18土浦沖宿沖霞ヶ浦(西浦)Fig.1調査地点回(毎週1回のペース)調査を実施した。調査地点は西浦の土浦入りに位置する掛馬沖水質自動監視所の近傍である(Fig.1)。この監視所は本センターの位置する土浦市沖宿の沖合に位置している(対岸は阿見町掛馬)。水温と溶存酸素濃度(DO)はポータブル分析計(HACH,HQ30d)で,pHはpHメーター(東亜DKK,WM-22EP)により水面(水深0.1m)から0.5m,1mと0.5m間隔で湖底付近の水深3.5mまで測定した。また,セッキー板を用いて透明度を測定した。湖水は円柱状のカラム採水器で,水面から水深2mまでを定量的に採水して良く撹拌後,水質分析用としてポリ容器に移して分析直前まで冷蔵保存した。また,植物プランクトン計数用検体はメスシリンダーで100 ml計量後,ポリ容器に移し,最終濃度が1%になるようにグルタールアルデヒドを添加した。動物プランクトン計数用検体は目合いが40μmのナイロン製プランクトンネットで捕集して,ポリ容器に移し,最終濃度が1%になるよう茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 45