ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

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概要

茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

Ⅵ研究報告・調査報告い,植物プランクトン由来有機物の濃度を,生産速度と消失速度,湖水回転率より算定する。濃度変化モデルには式(1)から(4)を用いた。d[L-POC]=dtd[R-POC]=dtPP×0.856×eupho ? [L-POC]×k 1max×?(T )生産分解? [L-POC]×τ(1)流出PP×0.116×eupho ? [R-POC]×sed生産堆積? [R-POC]×τ(2)流出d[L-DOC]= PP×0.028×euphodt生産+ [L-POC]×k 1max×?(T )×aL-POCから溶存化d[R-DOC]dt?[L-DOC]×k 2max×?(T ) ?分解=[L-DOC]×τ(3)流出[L-POC]×k 1max×?(T )×(1? a)×bL-POCから溶存化・難分解化+ [L-DOC]×k 2max×?(T )×bL-DOCから難分解化?[R-DOC]×τ(4)流出ここで,[L-POC],[R-POC],[L-DOC]及び[R-DOC]:植物プランクトン由来L-POC,R-POC,L-DOC及びR-DOCの濃度(mgC/L),t:時間(d),PP:表層における一次生産速度(mgC/L/d),eupho:有光層割合(無単位),k 1max・k 2max : k 1・k 2の最大値(/d),τ:湖水回転率(/d),sed:堆積率(/d),?(T):有機物分解についての温度関数である。τは一日毎の河川流入量(m 3 /d)を西浦の湖容積(661×10m 3)で除して求める。各式の「生産」項においてPPにかけられている係数は,これまでの実験で得られたものである(花町,未発表)。また,有光層を1m,平均水深を4mと仮定し,eupho = 0.25とした。PPは水温と植物プランクトンの密度に影響を受けると仮定して,温度依存式とロジスティック式を組み合わせた以下の式を用いた。PP = [L-POC]×μ×e T×θ×K?[L-POC]K(5)ここで,μ:0°Cにおける植物プランクトン比増殖速度(/d),θ:植物プランクトン比増殖速度に関する温度係数(/°C),K: L-POCの最大濃度(mgC/L),T:温度(°C)である。ここでは,L-POCはすべて植物プランクトン由来であると仮定した。有機物の分解についての温度関数は,最大水温6)と最適水温を考慮した以下の式を用いた。?(T)= ??Tm ? Tβ×(Tm ? To)?Tm ? To?×eβ×(T ? To)(6)ここで,Tm:有機物分解の最大温度(°C),To:有機物分解の最適温度(°C),β:有機物分解に関する温度係数(/°C)である。2.2パラメータの決定4,5)これまでの研究により,2010年8月3日から2011年7月7日までの,西浦湖心,掛馬沖,高浜入中心部の3点の,L-POC,R-POC,L-DOC及びR-DOC濃度の月ごとの変動が明らかとなっている。このうち,湖心のL-POC濃度の変動を用いて,生産・分解についての温度に関する各パラメータを決定した。このモデルでは,L-POCの増減は他の3つの画分R-POC,L-DOC,R-DOCの増減には影響を受けない構造になっている。また,L-POCはすべて植物プランクトン由来であると仮定しているため,L-POCの現場における増減を再現の目標とすることができる。そこでまず,湖心におけるL-POCの実際の変動を再現できるよう,各パラメータをMicrosoft Excel Solver 2010による非線形最小二乗法で調整した7)。パラメータ調整時の条件として,1. 20°Cにおいて,0.104≦k 1≦0.286(平成24年度までの実験結果より)2. K≦27 mgC/L(霞ヶ浦においてこれまでに観測されたPOC濃度の最大値が27 mgC/Lである8)ことより)3. Tm < 50°C(一般的に中温細菌のTmは40-45°Cであること9)より)を与えた。また,水温には国土交通省の湖心観測所の自動観測データを用いた。一日毎の河川流入量は,2010年3月までは平成23年度第6期霞ヶ10)浦湖沼水質保全計画策定調査業務委託報告書から,それ以降は,国土交通省から提供された桜川の流量データに,(西浦流入全河川流量)/(桜川流量)の比(4.66)を乗じて求めた。この調整によって得られたパラメータ及びこれまでの実験で得られた20°Cにおけるk 2の平均値(0.034 /d:花町,未発表)から,k 2 maxを計算した。2.3計算条件得られたパラメータをモデルに適用し,植物プ茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 41