ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

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概要

茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

資料編このように,西浦と北浦でCOD上昇の要因が異なることを踏まえ,きめ細かく効果的な対策を検討する必要があるため,センターにおいては,各水域の状況に応じた汚濁物質の削減手法等の研究を中心に進めていく。<主な研究の取り組み>1各水域の状況に応じた汚濁物質の削減手法・浄化方策の研究【研究の方向】湖内の窒素・りん濃度を削減するため,西浦・北浦について流入河川の窒素濃度の低減など湖内への窒素の流入抑制対策を,北浦では底でいからのりんの溶出抑制対策を実施する必要があり,対策立案に資する調査研究を推進する。また,CODには粒子態と溶存態のものがあることから,粒子態CODのほとんどである植物プランクトンや溶存態CODについて各水域の状況を調査するとともに,水域に特徴に着目して植物プランクトンの増殖抑制や溶存態CODの削減に関する研究を推進する。(ア)植物プランクトン【これまでの成果】・霞ヶ浦では,平成11年から17年にかけて年間を通じて珪藻類が優先し,CODは夏に低く,冬から春にかけて高くなる状況がみられた。・18年度以降,湖内の透明度が改善されたため,西浦では優占藻類種が珪藻類から糸状に細胞が連なった藍藻類(糸状藍藻類)に変化し,かつ年間を通じて出現することによりCODが高めに推移した。・糸状藍藻類はこれまでオシラトリア属とフォルミディウム属の2種から構成されているとみられていたが,フォルミディウム科(プランクトスリックス属とフォルミディウム属)とプセウドアナベナ科(プセウドアナベナ属とリムノスリックス属等)の複数の種により構成され,その種の構成が季節により変化している。・湖央部では栄養塩である窒素が極めて低く,水深に対して光が届く範囲が低いにもかかわらず,糸状藍藻類の量が多いため,窒素濃度が高く光が湖底まで届く沿岸域で糸状藍藻類は窒素を取り込み,窒素の低い湖央域に移動しても増殖できるものと推定した。【今後の取り組み】・植物プランクトンの増殖に,光環境や窒素・りん濃度がどの様に関わっているか水域ごとに調査し,植物プランクトン増殖抑制に効果的な対策を研究する。(イ)溶存態COD【これまでの成果】・霞ケ浦のCODの約6割を占める溶存態CODは,濃度に季節変動や地域変動がほとんどなく,湖内全域で年間を通しほぼ均一に存在している。また,河川水,農地からの流出水及び下水処理水に含まれる有機物とは異なっている。・溶存態CODは,湖内の微生物を起源とするものと陸域から流入してくるものが,ほぼ同量存在するが,構成する有機物の組成は異なっている。【今後の取り組み】・溶存態CODの削減は,湖内CODの低減に直接つながることから,藻類の生産,分解,沈降に伴う茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 183