ブックタイトル茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

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概要

茨城県霞ケ浦環境科学センター年報 第9号2013(平成25年度)

Ⅵ研究報告・調査報告1-15涸沼の水質保全に関する調査研究事業1目的涸沼では,水質汚濁が顕著となっていたことから,2000年3月に第1期水質保全計画を策定し,水質目標を定めて総合的な水質保全対策を実施してきた。種々の水質浄化対策を講じることによって水質は徐々に改善されてきたが,依然として環境基準の達成には至っていない状況であり,2010年12月に第3期水質保全計画が策定され,新たな水質保全対策が開始された。本事業は,継続的な湖内水質調査及びプランクトン調査等により,水質汚濁機構の解明や水質予測シミュレーションの精度の向上,さらには効果的な水質保全対策検討のための基礎資料を得ることを目的としている。2調査方法(1)水質調査図1に示した地点において,湖内に設定した8地点(H1~H8)では上層水(水面下0.5 m)及び下層水(湖底上0.5 m)をポンプにより採水した。下流の涸沼川に設定した2地点(大貫橋,涸沼橋)では,表層水をステンレス製バケツで採水した。調査期間は2013年4月から2014年3月で,7月と8月は月2回,12月と2月は採水せず,その他の月は毎月1回,計12回調査をした。現地では水深,透明度,水温,pH,電気伝導率を測定した。また,H4地点において2013年7月19日から8月21日まで約1ヶ月間,上層及び下層に多項目水質計を設置し,20分間隔で現地の水質を測定した。測定項目は水温,pH,溶存酸素量(DO),電気伝導率(EC)である。H1H2H3H5H4H6H7H8大貫橋図1涸沼調査地点図1調査地点涸沼橋(2)分析方法採取した水は当センターに持ち帰り,次の方法で分析した。懸濁物質量(SS)については孔径1?mのろ紙(Whatman, GF/B)を用いてろ過した。DOについてはウインクラー-アジ化ナトリウム変法により,化学的酸素要求量(COD,D-COD)については過マンガン酸カリウム(100℃)による方法により分析した。有機体炭素量(TOC,DOC)については全有機炭素計(SHIMADZU TOC-V CSN)で,全窒素量(TN,D-TN)及び全リン量(TP,D-TP)については窒素リン自動分析装置(ブランルーベ社製AUTOANALYZERⅢ)で,各態窒素量(NO 3 -N,NO 2 -N,NH 4 -N)及びリン酸イオン量(PO 4 -P)については形態別窒素リン自動分析装置(ブランルーベ社製AACS-Ⅱ)で分析した。塩化物イオン濃度については硝酸銀滴定法により,反応性溶存ケイ素(SRSi)についてはモリブデンブルー法により分析を行った。クロロフィル濃度(Chl.a,Chl.b,Chl.c)については,エタノール抽出液の吸光度を測定し,ユネスコ法の計算式により求めた。多項目水質計は東亜DKK製多項目水質計WQC-24(標準センサーモジュール)を使用した。(3)プランクトン調査湖内3調査地点(H1,4,7)において植物及び動物プランクトンの採集を行った。調査期間は水質調査と同様である。植物プランクトンの採集は上層水を400 mL採水し,動物プランクトンの採集はプランクトンネット(目合0.1mm)を湖底上0.5 mから湖水面まで鉛直曳きした。どちらの検体も採水後すぐにグルタルアルデヒド(サンプル中の濃度が約4%)で固定した。茨城県霞ケ浦環境科学センター年報,No9,2013 111