ブックタイトル広報いしおか 2014年11月1日号 No.220

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概要

広報いしおか 2014年11月1日号 No.220

前にウイルスで全滅したことから宮城県のカキを提供しました。今のフランスのカキは宮城県のカキの子孫なんです。私たちは子どもたちに森と川のつながりを知ってもらう取り組みをしてきました。現在、中学校の国語の教科書、高校の英語の教科書にも取り上げられています。教育の世界にも活動を広げているんです。このような活動に賛同し、ルイヴィトンのトップが復興の支援を決めてくれました。最後はやっぱり人決めつけてしまってはダメというのが教訓ですよね。多様性のある人間がいると助かることがあるんです。今では息子三人が漁業権漁場を与えられて養殖場を運営しています。最後はやっぱり人なんですよね。若い時は少し遊ばせて、うんと経験させて、いざという時には地元に帰ってくる。親にはそんな度量が必要です。世の中を見聞させる、経験させることが大事だと古こ稀きになって学ばされています。フォレストヒーローちょうど津波のあった年は「国際森林年」でした。世界で森林のことを考える年。国連はアジア、アフリカ、ヨーロッパ、南米、北米の五大陸から、一人ずつ民間人で森林活動をしている人をフォレストヒーローとして表彰しました。アジア代表は、漁師の私を選んでくれたんです。「森は海の恋人」を英語に訳すのが意外に難しいんです。そこで皇后陛下に相談したところ「long for」という単語はどうでしょうと提案されました。「long for」は、慕うという意味で、森は海を慕い、海は森を慕う「The sea is longingfor the forest,the forest islonging for the sea」という英訳にすることになりました。これを国連の表彰式で発表したら喝かっさい采を受けたんです。活動の由来私たちの活動「森は海の恋人運動」では、森と海と人間の生活のあり方を考えながら豊かな海を守るために森を大切にしてきました。活動を始める時「スローガンを考えろ」と言われました。私が最初に考えたスローガンは「ワカメもカキも森の恵み」。まるでお経みたいですね。これでは人の心は動かせません。良いスローガンが出れば八割方成功します。それには詩人が必要なんです。気仙沼を代表する歌人熊谷武雄さんの歌に「手長野に木々あれどもたらちねの柞ははそのかげは拠るにしたしき」というのがあります。手長山にはいろんな木があるけれどもナラの林に行くとお母さんのそばに行ったように心が休まるという意味です。昔の人は、その雑木林を自然界の母になぞらえていたんです。宮城県から北の海を三陸沖といいますが、世界三大漁場の一つです。ユーラシア大陸を流れるアムール川の流域は日本の国土の5倍にもなる大森林に覆われています。その森林の養分がオホーツク海に出て、この三陸沖まで届いています。つまり大陸の柞の森が日本の海を育てているということなんです。私たちのやっていることには意味があるんだと確信した訳です。熊谷武雄さんの孫にあたる熊谷龍子さんがこの運動に賛同してつくった歌です。「森は海を海は森を恋いながら悠久よりの愛紡ぎゆく」ここから森は海の恋人という言葉が生まれました。26年たっても色褪あせません。石岡の将来に向けて平成6年に、朝日新聞の市民文化賞の受章で皇居にお招きされる機会がありました。皇后陛下に関連するたくさんの本を読みましたら、皇后陛下が「柞」という言葉がお好きだと分かったんです。そして皇后陛下とお会いしたとき「柞」の話をさせていただきました。私がこの単語を知っていたことに驚いた様子でした。このたった一言がどれだけ大事か、これが重要なんです。皆さんも石岡市の歴史を勉強して独創的な感覚をつかんでおくことが重要だと思います。一見、脈絡のないようでも、いろいろな力が組み合わさって力が発揮されて柞の森がつくられ、世界の人々を動かすということなんです。ぜひ、石岡の将来を考えるときにも考えてください。▲活動の原点でもある「柞」について語られました▲復興しつつある気仙沼流域の漁場3広報いしおか12月1日号№220