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概要

歴史館だより No.109

墨梅図(左)と墨桜図青山延光賛(右)(ともに茨城県立歴史館)春の花,梅と桜をそれぞれ描いたものです。刷毛や大きな筆でまず,樹幹をダイナミックに描きます。花の細密さと樹木の大まかな描法が対照をなすが,武士であり,文人的な境地も目指した遷喬の心映えを作品に暗示的に観ることができます。(これは立原杏所にも共通します)なお墨桜図は平成23年度の購入品で他の遷喬筆の2幅(双鶴図,猛禽図)とともに昨年度修復され,今回公開します。また,墨桜図に賛を寄せた青山延光(のぶみつ)はつる図の賛者青山延于の長男でやはり弘道館教授頭取となった文墨の士です。とかく藩内抗争や政治的な面に注目が集まる幕末の水戸藩ですが,今回の展示ではそのような中でも学問や学芸に精励した遷喬やその周囲の人々をとりあげたいと思います。6