ブックタイトル歴史館だより No.109
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歴史館だより No.109
前ページ右側の写真にある原議(起案)書には,岩上二郎知事の決裁印(角印)が捺されていることがわかります。重要な案件である証(あかし)です。前ページ左の写真から,弘道館は昭和27年3月27日に特別史跡の指定を受けて,しばしば修理を重ねてきたが老朽化が甚だしいため,国の補助金により解体・修理することを伺っていることがわかります。その工事費として,昭和34年度(1959)から昭和知事決裁印(拡大)36年度までの3か年間に,3,218万円を執行する予定であったこともわかります。当時(昭和34年)の茨城県の常用労働者の平均給与は17,351円(『茨城県史料』現代統計編)ですから,平成26年5月の茨城県における平均賃金(毎月勤労統計調査地方調査月報)*2261,282円を用いて現在の物価に換算すれば,その額は4億8,458万円になります。*2参考リンク茨城県>いばらき統計情報ネットワークhttp://www.pref.ibaraki.jp/tokei/betu/rodo/maikin/maikin1405.html最後になりますが,平成23年4月より施行された「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法)では,次のように書かれています。(下線部は筆者)第一条この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。歴史公文書等が適切に保存され,その利用等が図られていれば,主権者である国民が時を超えて利用できるばかりでなく,行政の適正かつ効率的な運営に資することにも繋がります。何十年も前の公文書が,東日本大震災からの復旧の参考となった今回の事例は,まさにこのことを体現したと言えるのではないでしょうか。(行政資料課首席研究員富田任)5