ブックタイトル茨城県近代美術館/美術館だより No.99

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概要

茨城県近代美術館/美術館だより No.99

茨城県近代美術館展覧会紹介作家とアトリエ展作品を生み出す身体、創造の場会期:12月20日[土]~平成27年2月15日[日]休館日:月曜日及び年末年始(12/29~1/1)※ただし祝日の場合は翌日休館開館時間:午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)入場料:一般600(480)円/高大生360(310)円/小中生240(170)円主※()内は20名以上の団体料金※満70歳以上の方、障害者手帳等をご持参の方は無料※冬休み期間をのぞく土曜日は高校生以下無料催:茨城県近代美術館展覧会の概要本展は、美術作品が生まれるアトリエと、作品を生み出す作家に注目する展覧会です。普段美術館などで展示されている作品を目にしたとき、それがどこでどのように作られたのか、どんな人のどんな発想から生まれたのか、想像してみることはないでしょうか。アトリエのある場所は、建物の壁や床の素材は、入る光は、聞こえる音は、見える風景は、どのようなものでしょう。そこで作家は何を考え、何を感じ、どんな方法で制作を行うのでしょうか。作品が生まれる“場”としてのアトリエと、そこで制作する作家の感性や身体感覚との関係は、普段なかなかわたしたちが触れにくいものですが、それらを知ることで、少しでも作品に近づくことができるかも知れません。本展では、明治から現代までの十数人の作家をとりあげ、彼らによる作品生成の場を作品とともに様々な角度から見ていきます。横山大観「月満山」昭和12(1937)年当館蔵制作中の横山大観昭和29(1954)年横山大観記念館提供見どころ本展では、アトリエのロケーションや、建物の素材、光の入り方、使われる道具など、創作の場で作家の感性に作用すると思われる要素にスポットを当てて展示を行います。前半では、水戸市出身の二人の画家、日本画家の横山大観と洋画家の中村彝の画室を中心に紹介します。横山大観は、谷中不忍池ほとりの画室に長く住み、伊豆山中の別荘などでも制作を行いました。当時の日本画家は和室の畳の上に広げた紙や絹に向って絵を描くことが一般的であったため、大観のスペースでは、掛軸や?風の形で垂直に展示される日本画が水平の場で描かれたことを体感できるしつらえを試みます。また、横山大観記念館所蔵の貴重な写真資料により、画室の様子や制作方法を紹介します。中村彝は、今年が没後90年に当たります。美術館南側に復元されている彝アトリエでのイベントも併せ、彝の身体と居住空間について再考します。37歳で夭折した画家は、病弱だったため留学や頻繁な外出はできませんでしたが、細部までこだわったアトリエ兼自宅を建て、北窓から柔らかい光が差し込む洋室で制作に励みました。本展では、作品に描かれたテーブルや椅子、制作に使われたイーゼルや絵具箱などと、作品とを見比べながら、彝の生活と制作を身近に感じていただけます。後半では、茨城ゆかりの現代作家を中心に複数の作家の作品とアトリエを紹介します。日立の山中に和風モダンなスタジオを建て制作する立体造形家の田中信太郎や、霞ヶ浦を望む開放的なアトリエで体全体を使う独創的な方法による日本画を創作する間島秀徳など、それぞれの作家の作品と身体感覚に合ったユニークな創造の場を、写真や映像を通してお楽しみください。[近代美術館学芸員永松左知]中村彝「静物」大正8(1919)年当館蔵制作中の中村彝大正10(1921)年田中信太郎「ディスタンスシリーズ弧」昭和51(1976)年当館蔵間島秀徳「KINESIS No.215」平成16(2004)年当館寄託4