ブックタイトル茨城県近代美術館/美術館だより No.99

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概要

茨城県近代美術館/美術館だより No.99

茨城県近代美術館美術館だよりContents1五浦美術館企画展「寺田コレクション自然と生命への讃歌」より2展覧会紹介「寺田コレクション自然と生命への讃歌」(五浦美術館)3展覧会紹介「ワカラナイノススメⅡ」(近代美術館)4展覧会紹介「作家とアトリエ展」(近代美術館)5事業レポート6ー7所蔵作品追跡レポート8インフォメーション五浦美術館企画展「寺田コレクション自然と生命への讃歌」より西野陽一「生命の樹」平成18(2006)年東京オペラシティアートギャラリー蔵撮影:早川宏一四方に枝を広げ、緑の葉が茂る大樹の前を青い鳥が群れをなして飛んでいます。この作品を前にしたときにまず目に飛び込んでくるのは、そのような光景ではないでしょうか。しかし、目を懲らすと、枝の先には橙色の実がそこかしこに実っているのが分かります。画面上方にはその実を求めて鮮やかなクチバシのサイチョウが留まっており、右下にはリスが枝を渡り、右上ではハチドリでしょうか、小さな鳥が2羽はばたいています。その先には蛇が枝に体を巻き付け、画面左の方からはクマネコが小動物を獲物にしようかと忍び寄っているのが見えます。さらに、幹にはツタ植物が絡みつき、左下の枝には寄生植物が葉を広げているというように、この大樹は様々な生命にとって命の源となっているのが分かります。西野陽一はジャングルに自ら足を踏み入れ、肌で感じた動植物の息づかいまでも表現する画家ですが、この樹を見上げた時に感じた生命の巡りへの深い想いは、「生命の樹」という作品題名にも表れているといえましょう。[天心記念五浦美術館主任学芸員中田智則]1