ブックタイトル茨城県近代美術館 美術館だより No.98

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概要

茨城県近代美術館 美術館だより No.98

7 茨城県では、県内外の皆様から作品寄贈のお申し出をいただき、毎年途絶えることなく作品収集を進めています。平成25年度には、日本画6点、油彩画5点、版画48点、彫刻3点、素描1点、工芸1点の合計64点を新たに収蔵しました。 このうち茨城ゆかりの作家小川芋銭の作品2点は、ご遺族から資料と共に寄贈されました。野沢二郎、エミコ・サワラギ・ギルバートの作品は、当館で開催した展覧会への出品を機に、収蔵となったものです。日本美術院で活躍する菊川三織子、清水由朗の二作家からも、大作の寄贈を受けました。さらに、松本旻、渡辺千尋、井田照一の作品が加わることによって、当館の版画コレクションはいっそう充実したものとなりました。この場をお借りして、作品をご寄贈くださいました皆様方に厚くお礼申し上げます。 これらの新収蔵作品は、5月14日(水)から7月31日(木)まで、所蔵作品展の中でご紹介いたします。[近代美術館 主任学芸員 井野功一]六﨑敏光「空塊」平成24(2012)年 ブロンズくうかい 第58回一陽展の出品作です。作者は近年、空気や風など目にみえない存在を彫刻で表現していますが、本作品は空に浮かぶ雲が発想の元となっているそうです。エミコ・サワラギ・ギルバート「邯鄲」平成24(2012)年 レーザーコピー、鉛筆・紙かんたん 作者が東日本大震災の悲しみと絶望の闇の中に光や救済を願って制作した作品です。「邯鄲」のタイトルは作品完成後、震災が夢であったらという思いから、中国の故事「邯鄲の枕(一炊の夢)」にちなんでつけたそうです。渡辺千尋「象の風景――Mダム地区」昭和54(1979)年 ビュラン・紙 作者は1970年代末から80年代、ビュランという彫刻刀を用いた銅版画(エングレーヴィング)で充実した成果を残しました。「象の風景」と名付けられたシリーズは、作者の代表作で、都市や村の風景と象の皮膚のような物体が重なり合いながら幻想的な情景を見せています。井田照一「S. B. B. V. H. "The Brook No. 2"」昭和52(1977)年 リトグラフ、オフセットリトグラフ・紙 「S.B.B.V.H.」とは「Surface is the Between―Between Verticaland Horizon」(「表面は間、垂直と水平の間」)の略で、これは版画というものが紙の表面であると同時に、版と紙の間で成立するものであること、また、それが垂直の圧力を水平の紙が受けることによるものであることを意味しているそうです。作者は版画の概念を拡張し、現代美術家として活躍しました。版画素描彫刻あきら