ブックタイトル歴史館だより No.108
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歴史館だより No.108
2.栗田寛関係史料本資料群は,旧水戸藩士で『大日本史』編纂に功績を残した栗田寛の蔵書目録を中核としのぶして,栗田寛関係書簡類,信夫美貴草稿類,寛の曽孫で海軍少尉(殉職後中尉)の栗田喩戦没関係軍事史料に大別できます。水戸藩2代藩主徳川光圀のもとで着手された『大日本史』編纂は,約250年におよぶ大事業となりました。本紀(天皇の伝記)・列伝(臣下や文化人などの伝記)・志(分野別の歴史)・表(年表)の全397巻が完成をみたのは,明治39(1906)年のことでした。志・表の編纂に多大な功績を残し,『大日本史』を完成に導いたとも言える人物が栗田寛でした。藤田東湖・会沢正志斎・豊田天功らの薫陶をうけた栗田は,24歳の時,彰考館総裁であった豊田の推薦により史館勤めとなり,志・表の編纂を嘱されることになります。明治維新後,明治政府や東京文科大学への出仕がありつつも,栗田は亡くなるまで『大日本史』完成のために尽力することになります。「水戸の生んだ明治の碩学」と称される栗田の蔵書目録は,その業績を裏打ちするに十分な歴史資料と言えるでしょう。一方,栗田寛の孫で喩の叔父に栗田健男がいます。健男は大日本帝国海軍の海軍中将で,「レイテ沖海戦の謎の反転」を指揮した当事者としても著名な人物です。その健男の書状を含む,栗田喩戦死に関わる軍事郵便は,戦時資料としてきわめて興味深いものと言えるでしょう。(右から順に)№2-1「蕉窓書目一」,№4「(蔵書目録)」〔史神祇制度地理〕(史料学芸部歴史資料課主任研究員由波俊幸)2